結局、どの薬が効くの？という質問に対して

大家畜時代、牛の乳房炎検査など　よくしてました

酪農家が乳房炎の牛の乳汁を持ち込んで　何の細菌が原因か？　どの抗生剤が効くのか？を調べてくれ！！早急に！！と言うのです

 

生活がかかってますし　牛は財産であり　家族でもあります

 

乳汁が持ち込まれたのが月曜とかなら　いいのです

細菌検査って　手間なんです

菌が生育しないと調べられないからです

月曜なら　培地に乳汁を塗って　火曜には早ければ培地に生えています

が　中には発育が遅い菌もあるし　

炭酸ガス培養や嫌気培養など

培地・培養方法・生育時間が異なるのです

菌によって

 

ですが嫌気培養は乳汁検査では　普通　行いません

嫌気性菌で乳房炎になってたら　その牛は　もう生きていません

少なくとも自分の脚では立っていませんから

 

１日目　培養し　２日目以降に　「原因菌」を更に培養にかけます

この時　どの細菌が　意味のある菌か（病気を引き起こしてるか）を見極めるのが　経験です

ここを間違って　意味のない雑菌を拾うと　検査の意味はないです

 

乳房炎のような場合、ほぼ、単一菌で生えてくるので　あまり間違えません

 

自分のように２０年、細菌検査してきた人間だと　この1次培養で　単一に生えてくると　色と匂いで菌名が分かることもあります

多分、クレブシエラだな・・・と思って培養して　キットにかけると大抵、当たります

 

そこから薬剤感受性検査をかけ、何の抗生剤が効くか調べて　農家に連絡です

最短では３日で出ます

朝に培養、夜に来てまた検査を続ければ　生育の早い菌なら　早く結果は出ます

 

たとえ金曜の夕方に持ち込まれても　土日　深夜　関係なく検査をしたし

ゴールデンウイーク、全日検査したりしてました

 

友達もいないし

何の予定もありませんから

 

上司には叱られました

次の担当が困るからです

 

でも　農家の生活もかかってるし

自分の技術研鑽の為にも　休日　深夜　やってました

 

でも　こんな苦労して出した　薬剤感受性検査（何の抗生剤が効くか）も　意味がないこともあるのです

培地上では　菌の生育を抑えた抗生剤が

生きた牛の中では　効果を示さないのです

 

in vitro 　試験管内　　この場合は培地

in vivo　生体内　　　この場合は牛

の差です

 

臨床の現場では　細菌の同定・薬剤感受性試験をしてからお薬、出しますね！とはならないでしょう

これやってみて数日内に改善がみられなければ　抗生剤を変える　という流れだと思います

 

細菌検査とは　違うでしょうが　腎臓や心臓の病気に　いろんな薬やサプリが出てます

実際の所、何が一番、いいの？　効くの？と思われるでしょう

 

ですが　そもそも原因が分からない病気や完治しない疾病であることも大きいですが

あくまで進行を遅らせる・症状緩和を目的としています

腎不全や心筋症については　その子にどれが合うのか　やってみないと分からないというのが本当の所だと思います