産経新聞デジタルで報道されました。

https://www.sankei.com/article/20250301-J3OSKRHSCJDFHM3GIOBC5CDICU/

「拉致、日本海だけではない」　思い込み排し実態に迫る動画作成へ、クラファンで資金集め

公開されているプロローグ動画「あなたの知らない拉致問題〜拉致の真相を暴き出す〜」（SSR制作委員会のユーチューブ動画から）

北朝鮮による拉致問題の実態に迫る、短編動画を制作する動きが進んでいる。被害者5人が帰国した2002年から20年以上が過ぎ、問題を知らなかったり、誤った認識を持つ人も出てきた。今回制作する動画は、若い世代に関心を持ってもらうため１本10分程度、計５本を予定している。必要な資金を集めるため、3月7日までクラウドファンディングも実施している。

「講演に行って若い人たちに話を聞くと、『拉致は日本海側だけで起きている』と思い込んでいるケースが多い。９割以上の人はそう思っているという感じだ」

拉致された可能性を排除できない行方不明者について調べる「特定失踪者問題調査会」の村尾建兒（たつる）幹事長はこう話す。

政府認定の被害者17人のケースに限っても、日本海側から拉致されたのは、横田めぐみさん（60）＝拉致当時＝ら９人に過ぎない。ほかの8人は太平洋側から連れ去られたり、留学先の欧州から拉致されるなどしている。

村尾氏は、拉致問題の実情を知らないため、多くの人が自分の問題として捉えられないのではないかと考え、実態を分かりやすく伝える動画の制作を思い立った。

長い動画は最後まで見られることが少ないため、1本あたり10分程度に絞って５本つくることを計画した。

個人情報入手の様子も描く

調査会では、これまで全国各地を調査し、拉致の可能性が排除できない特定失踪者に「いくつかの共通項」が存在することをまとめた。その一つは、編み物や洋裁を習ったり、服飾関係の仕事をしていた人々で、拉致被害者、特定失踪者は10人以上もいる。

動画の1本目は、1977年10月、自宅から編み物教室に向かう途中で連れ去られた鳥取県米子市の松本京子さん（76）＝拉致当時（29）＝をモデルにした人物が、被害に遭う過程を描く。

事前に被害者の情報を調べ上げていたケースもあり、北朝鮮工作員が被害者の個人情報を入手する様子も描くという。

動画制作にあたっては、村尾氏がプロデューサーと監修を努め、映画「めぐみへの誓い」にも出演した俳優の佐羽英（さはね・ひで）氏が脚本と監督を担当する。

現在、動画の「プロローグ編」を公開するとともに、5本の動画制作に必要な資金350万円をクラウドファンディングで募っている（https://readyfor.jp/projects/S-S-R）。

村尾氏は「拉致被害者救出運動を国民運動にして、国民が声を上げていくようになるには、拉致問題の実情を知って自分ごとにしてもらうことが必要だ。そのために動画を活用してほしい」と話している。（森本昌彦）

https://www.sankei.com/article/20241222-CAKM42GX6VLP5AWYLRLIBMLIH4/