♥こどもたちのおはなし　10♥　「狼として、生きよう」続き

（前の新着情報から続きます）

 

 

そういえば、明日は満月。
つまり、おれが狼男になる日だ。

もしも明日行ったら、

狼男になって、

香織どころか、店にいる人全員をおどろかせ、

悪ければ、けいさつを呼ばれてしまうだろう。

 

そんなことになれば、

もう、アルカリオには行けなくなるだろう。

そんな事になっては、大変だ。

明日は、アルカリオには行かないでおこう。

おれの心の中には、

香織に会えないかなしさと、

次にアルカリオに行ったら、香織に告白しようという、

強い気持ちがあった。

そこで、おれは、紙にこんな事をかいた。

「〜告白の言葉〜」

 

おれは、今のうちに、

告白するときの言葉をかいて練習しよう、

と思ったのだった。

そこで、紙に、

　
「おれは、アルカリオに来てから、あなたに一目ぼれをしてしまいました。
　どうか、おれと付き合ってください。
　おねがいします。」
と、かいた。

　

それを、おれは何度も練習をした。

 

 

気がつくと、もう夜だ。
ああ、狼男になる、と思った。

 

毛がどんどんはえてきて、

手には大きな爪がはえてきた。

 

そこで一回、

「ウォーーーン」と、遠吠えをした。

次の日、おれは、きたい半分、

きんちょう半分の気持ちで、

アルカリオに行った。

 

すると、香織が

「いらっしゃいませ」と言い、いすを引いてくれた。

「あ、あの・・・」

「はい。なんでしょう」

ついに、おれは、告白することを決断した。

「おれはアルカリオに来てから、あなたに一目ぼれをしてしまいました。

　おれは、ふつうの人だけど、あなたを幸せにする自信だけはあります。

　どうか、おれと付き合ってください

　おねがいします！」

と、一気に告白した後、

近くにあった草むらに、

ポツリと咲いていたコスモスと、

がんばってさがした四葉のクローバーを渡した。

　

香織は、少しおどろいた表情をしていたが、

少し考えてから、こう言った。

「わかりました」

その時、おれの心の中は、うれしい気持ちでいっぱいだった。

 

そして、おれはやっとの事で、こう言った。

「明日の12時、お茶しませんか」

香織の返事は・・・「はい」

 

「じゃあ、新宿駅で12時、待ち合わせで！！　

　それでは、また明日！！」

おれはうれしくて、走って帰っていった。

 

 

次の日、おれは新宿駅に行った。

すると、もう香織が待っていた。

 

「ごめん。まった？」
「ううん。大丈夫」
「じゃあ、どっかで昼ご飯でも食べるか」
「そうだね」

と言って、おれらは、近くのマックに入っていった。

おれはフライドポテトとホットドッグ、

香織はチーズバーガーをたのんだ。

おれらは、それがくるまで、こんな話をした。

「ねえ、おれがもし、かい物だったら、どうする？　

　おれのこと、きらいになる？」

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　最終回へ、つづきます！