
支援総額
目標金額 380,000円
- 支援者
- 7人
- 募集終了日
- 2015年2月1日
第2章「出港」
翌1月22日、遠洋まぐろ漁船第五福竜丸140トン、船体の長さ30メートル、乗組員23人。家族や関係者、食産業界からも大いなる期待を受け、遠洋まぐろ漁船第五福竜丸は焼津の港を、南へ南へと向かった。1954年1月22日の事だ。小笠原諸島から南鳥島の北を抜け、一と月後ミドウエ―沖、そして3月1日マーシャル諸島ビキニ沖。この日佐吉は乗組員と共に3時間半をかけてはえ縄を投げ入れ、日の出と共に始まる漁を待っていた。
同じ頃、マーシャル諸島では島の人々はその日も何時もと同じ一日の始まりを、コーヒーを沸かし朝食を用意し、朝の太陽を待ち受けていた。
午前5時45分、船のデッキにいた佐吉は、突然西の空に太陽が昇るときのような明るい現象が起きたのを見たが、「オィ、ナンダアリャ~」というばかりで一体何が起こったのかわからない。そのオレンジ色の光は3分ほど続き、そして元の闇に戻るかのようにサアーと引いていった。その数分後には地響きが鳴り響き、さらに7~8分の後、爆音と衝撃派が船を襲った。海は遠鳴りに海底は膨れ上がり轟音を立て反転し、逆巻く波となって船を木っ端微塵にしようと、水平線のかなたから押し寄せてきた。やがて高さ19000m幅100キロに広がったきのこ雲は、風に乗り東に向かって流れ、砕かれた珊瑚の粉が最初にマーシャル諸島の人々に降り注いだ。
アメリカによってビキニ環礁に投下されたブラボーと呼ばれる水爆実験だ。それは広島に投下した原爆の1000倍、15メガトンにのぼる威力だった。目を焼くような、そのブラボーの閃光と火の玉は、そこから400キロ以上はなれた人々からも目撃されていた。
午前6時、やがて佐吉の頭上にも雨に混じり白い粉が降ってきた。風に乗り、振り続ける灰は目にも鼻にも潜り込み、口の中に入った灰は酸味がした。その夜(よ)から佐吉もみんなと同様、頭痛、吐き気めまいに襲われた。船長は「ここは事前に知らされていた実験の危険区域ではないはずだが」と思いながらも、大事を察知し網を巻き上げ急ぎ北へ北へと船を引き返させた。
同じ頃、死の灰といわれるパウダーは、ビキニ環礁から東へ180キロのここロンゲラップ島にも降り始め、子供たちは思わぬ出来事に喜び駆け回り、だれが一番パウダーを集められるか競い合って遊んだ。夕刻にはパウダーは4センチもの厚さに降り積もり、危険を知らない島の人々は死の灰が入った水を飲み、パウダーのついたやしの実を食べ、ごはんを食べた。その夜(よる)には、島の人々は吐き気、下痢、頭痛、皮膚のかゆみなどにみまわれ苦しみ出す人々が多く出ていた。
それからしばらくすると、佐吉と愛吉の顔と手はふくれ火傷のようになり、歯茎からの出血も止まらない。マーシャル諸島を離れて数日後、乗組員の一人が「おーぃ、頭の毛ン、抜けねぇかぁ?」と聞いてきた。それを聞いた佐吉は「ううン?抜けねぇよっ」と、自分の襟首付近の毛を引っ張ってみるとごそっと髪が抜けてきた。「ウワ~ァ!なんだぁこりゃー、これじゃーおめー焼津に帰(けぇ)る前(めぇ)に頭の毛ンなくなっちまって坊主になっちまうじゃねぇか。漁師が漁にでて坊主じやぁ洒落にもなんねえわ」。この時まだみんなは事態の深刻さに、気がついてはいなかった。愛吉はその様子を見ながら、「こりやぁやっぱり噂に聞いた水爆実験かもしれんな、俺(おらぁ)死の灰をかぶったかもしンねーぞ」と心に思い、ゾーと身震いがした・・・・・・続く、
ここから音声でも視聴することができます。
http://cocoltd.com/gionjuku2014/index.html
リターン
3,000円
「そして私は、」のCD1枚。名簿記載。
サンクスレター。
- 申込数
- 0
- 在庫数
- 制限なし
10,000円
3000円の引換券に加え、名簿に名前記載&焼津のお土産名簿記載
- 申込数
- 6
- 在庫数
- 制限なし
3,000円
「そして私は、」のCD1枚。名簿記載。
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