【井戸を掘ることを決めたきっかけ】今年3人が命を落としました

腸チフスによって今年だけでも3人が命を落としています。

 

私たちは、事業を開始する前、KAMBANG Farms & Suppliesの農場のあるコミュニティを訪問しました。その時、私たちはため池から水を汲んでいる現状を目の当たりにして呆然と立ちつくしました。それだけ、コミュニティの生活環境は日本人の私たちからすると劣悪で、衝撃的なことでした。

 

さらに調査をすると、水の問題は想像以上に深刻であることがわかりました。

私たちの農場の周辺の住民は400人の人々が１つの雨水のため池を生活用水に使用しています。今年、このため池を利用している人たちののうち3人が、腸チフスで命を失いました。３人うち2人は子どもです。

 

腸チフスは日本では聞き慣れない病気ですが、汚染された水、氷、食べものを取ることによって感染する病気です（厚生労働省）。特に上下水道が整備されていない衛生状態が悪い場所では一般的です。腸チフスは適切な治療を受ければ感染しても死亡するリスクを下げることができます。しかし、私たちの農場がある地域では、住民が貧しく、かつ病院まで遠いために適切な医療を受けることが困難です。そのため、一度感染すると重篤になりやすい病気といえます。

 

現地における水を媒介とする感染症は腸チフスだけではありません。赤痢やサルモネラ等の感染症も脅威となっています。コミュニティの住民が利用しているため池は人間だけでなく動物（牛、山羊、羊、豚）の水場となっています。動物が持っている細菌が、飲み水を媒介して人間に感染することは容易に想像できます。

 

 

ガーナでは以前よりインフラの整備によって、下痢症で亡くなる人の数は減ったものの、2019年現在、年間10万人当たり21.5人が下痢症で命を落としています（WHO）。特に下痢症は特に子どもたちへの影響が大きく、5～9歳でみると10万人当たり16.8人が命を落としています(WHO)。

 

なぜこのような差し迫った状況なのに政府は対策しないのでしょうか？

ガーナ政府は慢性的な財源不足です。特に近年はコロナ対策に財源を使ったことが理由で2021年のガーナの財政収支（対GDP比）は、191か国中182位となりました（IMF）。

 

 

現在、多くのインフラ整備は国際援助機関や国際NGOによって支えられています。多くの国際NGOは北部地域で活動していますが、全地域をカバーすることは難しく、私たちの農場があのコミュニティでは活動していません。そのため現在のところ、コミュニティに井戸を届けることで住民の差し迫った脅威から遠ざけることができるのは私たちしかいないと考えています。

 

 

これ以上被害者を増やさないために、皆様の支援が必要です。ご協力をお願いいたします。

 

↑生活用水と使用している水

 

 

参考文献

IMF：MF - World Economic Outlook Databases

https://www.imf.org/en/Publications/SPROLLS/world-economic-outlook-databases#sort=%40imfdate%20descending

 

WHO：THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY

https://www.who.int/data/gho/data/themes/mortality-and-global-health-estimates/ghe-leading-causes-of-death

 

厚生労働省：検疫所FORTH

https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name11.html