コロナと私と香港と⑫

 

一国二制度の元で、香港の法治社会は50年間守られるはずだったが、実際は中国同様893を使った暴力が横行してるように思える。

 

昨年7月21日の元朗襲撃事件など、その際たるものだが、他にも民主派の区議会議員への襲撃、自殺と見せかけた不審死など、もはや50年経たないうちに中国化している。

 

昨年11月、デモ参加者が集まる太古のショッピングモールで北京語を話す男がナイフで市民５人に斬りつける事件があった。たまたま止めに入った区議会議員の趙家賢さんが男と揉み合いとなり、耳を噛みちぎられた。

 

他にも深水埗でタクシーがデモの群衆の中に突っ込んでケガ人が出したが、犯人の運転手が逆にリンチされ重傷を負うといった背景が分からない薄気味悪い事件も起きている。

 

この事件では、中国メディアや親中派メディアは、事件の背景を説明せずに運転手がリンチされる映像のみを切り取って流した。こうした印象操作は他に幾つもあり、メディアリテラシーの無い大陸の中国人は、デモ隊は「暴徒」と本当に信じるに違いない。

 

話はそれるが、私は度々チベットを旅行しているが、2008年以降はその事を中国人に話すと「チベットは危険でしょう。大丈夫ですか？」と聞かれる事が多い。

 

これは2008年のチベット蜂起の際に、中国メディアが「チベットのデモはテロリストの仕業」といったプロパガンダ映像を盛んに流したからだ。歴史背景を知らない中国人はすぐに騙される。

 

香港の言論・報道の自由もかなり形骸化が進んでいる。テレビ・新聞に関しては、中国企業による株式取得を通じて、中国政府の意向を反映するように変えられている。

 

蘋果日報のような民主派メディアに対しては、中国政府の圧力と思われるスポンサー企業の出稿取り消しがあるそうだ。

 

蘋果日報と言えば、今月18日に創業者の黎智英（ジミー・ライ）氏が逮捕された。実際の新聞経営からは既に離れているようだが、彼のような象徴的人物の逮捕は、現場の記者にとっては無言の圧力になるに違いない。

 

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