「なぜ、僕は歌をうたうようになったのか」

こんにちは。

 

手話歌シンガー、『コーダ』安藤一成です。

 

僕の母は生まれつき、全く耳が聞こえないのです。

 

なのに、みんなから「なぜうたうようになったのか？」

 

とよく言われます。

 

僕はこう言います。

 

母がきこえないので、うたうようになったのです。

 

事の始まりは、僕が4才の時です。

 

母は女手一つで僕を育てていました。

 

いつも僕を朝一番、保育園に預け、一番最後に迎えに来てくれました。

 

僕は話したいことがたくさんありました。

 

母は僕の口の形を見て読み取り、（読話法といいます）口話で会話をしていました。

 

しかし、ママチャリに乗ると、母は僕の口が見えません。（僕は後ろに座るから）

 

後ろから僕は話してもわかりません。

 

母は困ったような顔をしていましたが、なにやら思いついた顔をして、

「今日は何の歌をうたってくれる？」と言ってくれました。

 

僕は喜んで歌を歌いました。保育園で覚えた歌を。

 

毎日、僕はいろんな歌を母の後ろで歌いました。

 

あとでわかったのですが、母は全く歌の内容はわからなかったそうです。

でも、「心に伝わったような気がして、嬉しかった」と言ってくれました。

 

そんなエピソードなのですが、1つ言えることは、

 

母がきこえていたら僕はうたっていなかったかもしれない。

 

これからもきこえる、きこえない関係なく、みんなに伝わる歌（手話を使いながらうたう歌）を作りたいと手話歌シンガーを目指しています。

 

こんな僕ですが今後も見守ってください。

 

安藤一成

（※写真はオーストラリアで初めて聴導犬に出会ったときです）