寄付総額
目標金額 2,000,000円
- 寄付者
- 362人
- 募集終了日
- 2022年12月26日
PDX モデルとは?
本プロジェクトの概要に頻繁に出てくるPDX モデル,これについて説明致します。
正式名称は Patient Derived Xenograft model,日本語では患者由来組織移植モデルと訳されることが多いと思います。Xenograft は異なる動物種に移植することですので,患者由来異種移植モデルとも訳されます。
PDXモデルとは患者から摘出したがん組織を免疫が正常に働かないマウス (免疫不全マウス) に移植し,がんをマウスの中で再構築したものです。本プロジェクトでは患者犬から摘出された血管肉腫を細断し,その小片を免疫不全マウスの皮下組織に移植します。その後しばらくすると,移植した部位で血管肉腫が形成されます。このマウスの中で出来た血管肉腫を再び摘出・細断し,別の免疫不全マウスに移植します。この過程を3回繰り返して出来た腫瘍が血管肉腫 PDX モデルとなります。

PDX モデル作製まとめ図
患者から摘出した腫瘍片を免疫不全マウスに移植して作製する。
ではなぜ我々は PDX モデルを樹立しようとしているのでしょうか。それは PDX モデルは普段我々が研究に用いている培養細胞株とは異なる特徴を持っており,それが研究上の大きな利点となるからです。
培養細胞株とはプラスチック製のお皿の上でほぼ永久に培養できるようにした細胞です。また,好きな時に凍らせることができ,さらに凍らせた細胞は好きな時に溶かして実験に使うことができます.したがって,自分の好きなタイミングで実験を行うことが可能になります。また,遺伝子を働かなくさせたり,遺伝子に変異を入れたり,薬を投与したり,特定の物質を光らせたり,様々な実験を簡便・容易に行うことができます。
しかし培養細胞株には欠点もあります。一つはプラスチックの皿の上というがん細胞が本来いた場所とは全く異なる環境で培養されていること。もう一つはお皿に上にはがん細胞しか存在しない,ということです。
本来がん細胞は柔らかい体内組織の中にいます。ところがプラスチックの皿の上は固く,弾力が全くない環境です。皆さんも固いところは寝心地が悪く,起きてもすっきりしないですよね。がん細胞も同じで,固いものの上だと本来の性質が発揮されません。
また,がん組織はがん細胞だけから成り立っているわけではありません。がん細胞の他にも線維芽細胞や血管,マクロファージなど様々な細胞・組織が存在しており,これらはがん細胞に栄養や様々な物質を与えることでがん細胞の増殖をサポートしています。我々も自分一人では生きていないように,がん細胞もこうしたサポーター細胞たちを必要としているのです。培養細胞株はがん細胞だけを分離したもので,これらのサポーター細胞たちはプラスチック皿の上には存在していません。培養細胞株のがん細胞はサポートがなくても増えられるように進化した細胞達なので,患者体内にいるオリジナルのがん細胞とは異なる性質を持っていることになります。

がん組織のモデル図
がん細胞以外にも様々な細胞が混じっています。
以上のように培養細胞株は研究に便利な反面,本来のがん細胞としての性質を維持していません。そのため,培養細胞株を効率よく攻撃できる治療法を見つけたとしても,それが患者体内の腫瘍でも同じように効力を発揮するかは予想ができません。なぜなら,培養細胞株は本来のがん細胞とは異なる性質を持っているからです。
この問題を解決してくれるのが PDX モデルです。PDX モデルでは患者犬から摘出した血管肉腫をそのまま免疫不全マウスに移植します。プラスチック皿を経る過程がないため,血管肉腫細胞の性質が変わることがありません。
また,PDX モデルではがんを組織ごと移植します。つまり,がん細胞の以外のサポーター細胞たちも一緒に移植され,がん細胞の働きをサポートします。PDX を作る過程で,血管肉腫の場合にはサポーター細胞は犬由来のものからマウス由来のものへと置き換わって行きます。これは血管肉腫がマウスの線維芽細胞やマクロファージをサポーターとして勧誘するためです。これらのマウス由来のサポーター細胞たちは患者犬のものと同様の働きをしますから,PDX モデルはサポートを得ながら増殖を続けることになります。したがって,本来の性質を保ったまま,がん細胞は生育を続けていくことになります。

培養細胞株と PDX モデルの比較
がん細胞が本来の性質を保っているということは,実験によって得られた結果はよりがんそのものの性質を反映していることになります。つまり,実験によって得られた効果が実際に治療でも認められる可能性が高いということになります。人の医学分野では様々ながんのPDX モデルが作製されています。我々も犬の血管肉腫のPDX モデルの作製を続けており,現在 2 株の樹立に成功しています。現在は更に 3 株,合計 5 株の樹立を目指して研究を行っています。これらの血管肉腫 PDX モデルを用いて研究を行うことで,我々は臨床応用の期待度が高い研究結果を生み出して行こうとしています。

血管肉腫 PDX モデルと細胞株移植の比較
左が患者犬から摘出された血管肉腫の病理組織像です。真ん中は PDX モデルは患者由来のがん組織とよく似た様相を示しています。一方,右は血管肉腫の培養細胞株をマウスに移植して作製したがん組織です。培養細胞株が作るがん組織は患者由来のものとは異なる姿をしています。
いかがでしたでしょうか。PDX モデルは血管肉腫研究を発展させるための重要な研究ツールの一つです。本プロジェクトでは血管肉腫 PDX モデルを用いてシングルセル遺伝子発現解析を行う予定です。次回はシングルセル遺伝子発現解析について詳しく説明したいと思います。
ギフト
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===
研究報告セミナーは2023年3月から研究の進捗に合わせて複数回行う予定です。詳細については、1月中に別途お知らせします。日程が合わなかった方には、録画をセミナー終了から3ヶ月内はご覧いただけるようにする予定です。
一般向けは2023年3月、9月、専門向けは2023年4月、10月に複数回行う予定です。
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