支援総額
目標金額 100,000,000円
- 支援者
- 56,584人
- 募集終了日
- 2023年11月5日
かはくの偏愛研究室|file.11 谷健一郎先生が語る、露頭への愛
毎週木曜19:00〜19:30に放送中の、クラウドファンディング特別企画「かはくの偏愛研究室」。
かはくに所属するさまざまな分野の研究者が登場し、かはくに収容されている約500万点のコレクションの中から、自身の「推しコレクション」をご紹介。資料への愛を語るYouTube番組です。
本記事では、配信の内容を一部抜粋してご紹介します。
※配信内容は、YouTubeからアーカイブ視聴も可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=sqELUKpCyRs&list=PL38SvBUmO1PemC1tsNtni7pCywLwAMoyl
編集:READYFOR かはく担当キュレーターチーム
\毎週木曜19:00〜19:30 生放送! /

第11回目のゲスト研究員は、地学研究部 研究主幹の谷健一郎(たにけんいちろう)先生です。
かはくの偏愛研究室|file.11:露頭が好きすぎる先生
ゲスト研究員:谷健一郎(国立科学博物館 地学研究部 研究主幹)
MC:関戸颯汰(上野地区学習支援担当)
profile
谷 健一郎(たに・けんいちろう)
専門は岩石学で、花崗岩質の大陸地殻が地球史においてどのように誕生・成長してきたのかを明らかにしたいと思っています。特に現在も地下で大陸地殻が成長していると考えられている伊豆小笠原弧に注目し、調査船や潜水船などを使った海底調査を行っています。学生時代から登山が趣味で、仕事でも山に登りたくて地質学を専攻しました。しかし海が主な仕事場所になってしまったのが、人生のジレンマです。
地層を丸ごと!?「はぎ取り標本」
ーー今回ご紹介いただく露頭(ろとう)ですが、どういうものなんでしょうか?
谷:露頭とは、僕たちが研究している岩石とか地層が地上で露出している場所、出ている場所のことを露頭と呼びます。今回僕がご紹介するのは(露頭の)「はぎ取り標本」で、九州は屋久島の北側にある宮之浦川の川沿いに出ている露頭からはぎ取ってきた地層の標本です。

屋久島は島の北20kmぐらいのところに鬼界カルデラと呼ばれている海底火山がありまして、この鬼界カルデラは今から7300年前の縄文時代にかなり大きな噴火をしています。その噴火の時に放出された火山灰は(現在の)東北地方まで届いていて、噴火によってすごい広い範囲で大きな災害に襲われたんです。そしてその災害を記録している地層をはぎ取ってきたものがこの標本なんです。
ーー具体的にどんな方法で「地層をはぎ取る」のか教えてください。
谷:作り方としては、まず表面を削って綺麗にします。そこに樹脂を塗り込んで、細かい砂とか泥の粒を固めます。その後布を貼って、さらにまたその布の後ろから樹脂を塗って、一晩寝かして固めます。そして固まったら、上からビリビリビリビリビリビリ...と剥いで、地層を丸々はぎ取ります。

そうやって出来上がるのがはぎ取り標本ということで、いま標本が目の前にありますが、僕たちは地層の内側に眠っていた面を見ていることになります。地層をまるごと野外から持って帰ってきているので、1個1個の石だけじゃなく、その石がどういうところに入っていて、その石がどういう状態でどういう組織で入っていたかということを、ここから読み取ることができます。
ーーちなみにこの屋久島の標本からは、どんなことが読み取れるのでしょうか?
谷:はい。屋久島はですね、島の真ん中は花崗岩(かこうがん)でできていて、島の周囲にだけ堆積岩(たいせきがん)とか変成岩(へんせいがん)があるんです。このはぎ取り標本を作った場所というのは、宮之浦川の河口から4kmぐらいの島の内陸で、花崗岩がある場所なので、もし川の堆積物だけだったら全て花崗岩由来の砂とかになるはずですが、標本の下の荒い砂の層に入っている礫(れき)は海岸側の堆積岩と変成岩でした。
(繰り返しになりますが)標本を作ったのは河口から4kmぐらい内陸側で、標高が30mぐらいの場所です。ですので、川の流れに逆行するような強い流れがないとこうはならない。つまりどういうことが1番考えやすいかというと、津波なんです。津波が起きて軽石などの火山噴出物が連続的に流れてきたということが、この1枚のはぎ取り標本から読みとることができます。

石の向きから見えてくるストーリー
ーー先生から見た、この標本の魅力を教えてください。
谷:すごいマニアックな話になるんですけども、この標本から川の流れの向きが分かるんです。この露頭から1個の石だけを持ち帰って保管して分析しても、島のその地点の石っていうだけで、全体のストーリーは見えてこないです。でもはぎ取り標本というもので露頭を全部持ち帰ってきて、石の向きなどから現象や状況を読み取って初めて見えてくるものがあるんです。マニアックではありますが、そこが偏愛ポイントですね。

ちなみに、はぎ取り標本は(かはくの)収蔵庫の中にもたくさんありますが、実はこの屋久島の標本は僕がかはくに入って初めて作ったはぎ取り標本です。元々はぎ取り標本は、考古学の方ではよく使われてる手法だったので、鹿児島の遺跡の発掘をやっているベテランの人たちに教えてもらいながら剥ぎ取ったんです。
でも彼らもこんな高さ4m近い地層を剥ぐような経験はなくて、僕もどんなに大変なことか知らなかったので、なんとなくこれ全部剥ぎ取りましょうって言ったんですけど...上からはぎ取り始めたら重すぎて自分たちが潰されそうになっちゃって(笑)。危ないので途中で真ん中で切って、上と下に分けて剥ぎ取って繋げました。多分重さは400か500kgぐらいあると思うんですけども、こんなに大変なんだってことを学びましたね。
コレクションとは……、
ーー最後に、先生にとって「コレクションとは何か」、教えていただけますか。
谷:コレクションとは、「過去や現在の記録を未来につなぐもの」だと僕は思っています。(標本を通して)ご紹介したような過去の自然災害の記録、地層の記録というのは、すぐに失われてしまうものなので、今起こってる災害あるいは過去に起こった災害の記録というものを標本という形で残して未来につないでいくということは、防災教育上も重要なんじゃないかなと思っています。
あともう1つは、僕たち岩石を研究している人たちというのは、石そのものが好きというよりも、石からどういう情報を引き出せるかというところに興奮をします(笑)。現代の分析技術では分からないけれども、将来失われてしまうかもしれないような露頭から希少な岩石を取ってきて保存しておく。そうすることによって、将来新しい分析手法が開発されて、今では分からないような情報を引き出せるようになったときに、我々が保管しておいたコレクションを使って未来の人たちが地球史上のもっと新しい発見をできるかもしれない。そういう意味でも、僕たちのこのコレクションは、未来につないでいくものじゃないかなと思っています。

= = = = =
本記事でご紹介したのは、配信のごく一部。
全貌はぜひアーカイブ動画で。
▼file.11:露頭が好きすぎる先生【谷健一郎(国立科学博物館 地学研究部 研究主幹)】
引き続き活動報告では「かはくの偏愛研究室」シリーズのレポートをはじめ、リターン情報や本プロジェクトの進捗状況などをご報告してまいります。今後とも応援のほど、よろしくお願い申し上げます。
リターン
15,000円+システム利用料

【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●かはくオリジナル図鑑
当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
●寄付金領収証
--------
※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 39,306
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
5,000円+システム利用料

【オリジナルグッズ】【寄付控除あり】 トートバッグ
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●トートバッグ
研究者が日々の研究で使用した「研究ノート」の一部をデザインとした、本クラウドファンディングのオリジナル「トートバック(全5種類)」。
●寄付金領収証
--------
<デザイン>
以下の5種から1つ【ランダムで】お届けいたします。
■モグラの歯の変異原図
■貝のスケッチ
■微細藻スケッチ
■ボーリングコアのスケッチ
■太陽黒点スケッチ
※画像は、5種のうち3種のイメージです。デザインや形状などは変更となる可能性もあります。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 15,665
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
15,000円+システム利用料

【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
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当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
●寄付金領収証
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※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 39,306
- 在庫数
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- 発送完了予定月
- 2024年3月
5,000円+システム利用料

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--------
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以下の5種から1つ【ランダムで】お届けいたします。
■モグラの歯の変異原図
■貝のスケッチ
■微細藻スケッチ
■ボーリングコアのスケッチ
■太陽黒点スケッチ
※画像は、5種のうち3種のイメージです。デザインや形状などは変更となる可能性もあります。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
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