リンパ管内皮細胞の性質を保つために細胞を活性化させる化合物を見つけたい

リンパ浮腫では、炎症性のシグナルがリンパ管内皮細胞に伝達されてリンパ管の本来の性質を保っている細胞が減ってきていると考えられます。

これにはリンパ管をリンパ管たらしめている遺伝子であるProx1のタンパク質の量を元に戻してあげるか、働きを強く（活性化）することが必要です。

そのような化合物がないか、探索していきます（このことをスクリーニングと呼びます）。

私は大学4年生のときに研究室で初めて本格的な研究に取り組みました（手技や考えは未熟でしたが、実験に取り組む気持ちはあくまで本格的でした）。

このときも、遺伝子調節のしくみを担っている酵素の阻害剤を探すというテーマで化合物のスクリーニングを行いました。なので、私にとって候補薬を探すスクリーニングに取り組むことは自分自身の研究者としての原点を思い出す行為でもあります。

ちょうど、先月に当時ご指導いただいていた先生が大学を定年退職されるにあたり、最終講義を拝聴することができました。また当時よく使用していた実験室に立ち寄る機会があり、当時の研究風景を昨日のことのように思い出しました。

また故郷に戻る機会があり、小学生の時に最初に自由研究発表をした時にご指導いただいた担任の先生がちょうど出身小学校の担当に戻られていて20数年ぶりに再会することができました。研究発表の練習をした部屋も訪れることができ、「実験は楽しい」という、研究者を志した原点を思い出すことができました。

可能性のある化合物を見つけるのは簡単ではないことはこれまでも自身で体感してきていますが、当時とはスクリーニングの手法もだいぶ様変わりしていますので、もう一度改めて原点に立ち返り研究の面白さとその研究の意義をかみしめながら取り組んでいきたいと思います。