お山の樂校のあゆみ　その４

2018年の12月。年が明ける直前に６畳の小さな校舎は完成しました。

 

スタッフの子どもたちも一緒に漆喰塗りをやって仕上げた校舎は、私たちにとってはどんな立派な建物よりも価値のあるもので、今でもずっとお気に入りです。

 

入学式を予定していた１ヶ月前に校舎は出来たけど、料理をする場所がありません。校舎の中に台所を作れるスペースはないし、最初はお弁当でもいいんじゃないかという話にもなったんですが、「やっぱりみんなで同じご飯を食べたいよね」って話になり、

 

「だったら野外炊飯棟を作ろう！」

 

ってことになりました。

 

急遽手伝ってくれる人を募って、スタッフと数名でキャンプ場にあるような

炊飯棟作りを開始。

束石を埋めて、柱を建てて、そこに屋根をつけて、壁になる板を打っていく。

すぐできるやろ♪なんて思ってたら、束石を埋めるところから難題が。

 

束石を埋めたいところの土の中に硬くて大きな石がゴロゴロ入っていて、なかなか穴掘りが進まない。これは手で掘るには無理がある。

う〜〜ん…

ってなった時に、スタッフの旦那さんが「職場から機械借りて来れるよ！」と。

 

なんとっ！ありがたや〜！

救世主現る！

 

で、借りて来てくれた機械を使って手慣れた様子でガリガリと石を突破してくれて、穴あけ作業が完了しました。

 

そこから束石を埋め込んでいったんですが、これまた水平を測るのに四苦八苦。

その後の柱建ても、下を固定しても柱自体はグ〜ラグラ。

「ほんとにこれで大丈夫と〜！？」って言いながらそれぞれの柱を支え、上で柱と柱を固定。

 

やりながら、気づきながら、ダメなところは修正しながら。

試行錯誤とはこのことで、でもその出来なさが笑えるところでもあって、

素人たちが知恵を出し合い、なんとか炊飯棟を作ることが出来ました。

 

室内で過ごせるスペースとご飯が作れるスペースが完成。

そこからは中で必要なものを用意していきました。

 

子どもたちが荷物を置く棚。備品。

炊飯棟には流し台、食器入れ、調理器具などなど。

 

買うという選択の前に、「誰か持ってる人いませんか〜？」と発信してみると、

あちこちから集まってきました。

 

「親が文房具屋してたから、使ってないペンとかたくさんあるんです」

「祖母の家を手放すから、食器とかいるものなんでも持っていって〜」

「業務用の食器棚あるけど使いますか」

とかとかありがたいお声をかけてもらって。

 

そうやってたくさんの人たちの協力を得ながら準備を進めていきました。

 

学校を始めたい！って言い出してから約半年。

毎日毎日そのことを考えて、準備して、作業して。

きっと大変だと感じることもあったと思うけど、楽しかったなぁってことだけが浮んできます。

 

心に残るくらいのハプニングも、時間が経てば笑いのネタです。

結局いつもそうだから、落ち込むような出来事も渦中にいる時にはあたふたしてへこんだりもしますが、心のどこかで「これも味だよね」と思ってしまいます。

 

いつもと変わらない毎日や順調に進んでいる毎日の中のスパイス。

それがあることで、喜怒哀楽の深みが増してより味わい深い日々になる。

 

たくさんの味わいを体感できたこの期間を経て、お山の樂校の初めての入学式を迎えることになりました。