【最終日】若手振付家たちに伝えたいこと

 

皆さま、今回のこのクラウドファンディング活動へのたくさんのご支援、本当にありがとうございます！　ついに、最終日となりました。

 

今日は皆さんにお願いをさせてください。ほかの若手振付家たちに、どうしても伝えたいことがあり、皆さんのお手を貸していただきたいのです。

 

 

あなたは人から「元気？」とか「最近どう？」と聞かれたとき、なんて答えますか？

 

僕はほとんどの場合「どうにか這いずり回って生きてます！」と答えています。

 

なぜなら僕は、これまで常に自分をダンス界の底辺だと思いながら生きてきたからです。ジャズダンス時代は、いつも憧れの上手なお姉さんたちのいる難しいクラスに必死についていっていました。バレエ学校時代以降も、脚が上がるわけでもなく、回れるわけでもなく、跳べるわけでもなく、華があるわけでもなく、特別有名なカンパニーで踊ってきたわけでもなく・・・。挙げ句の果てに、ビザが切れるまでに就職先が見つからず日本に帰ってきました。帰国してからは、何をしていたのかほぼ記憶がありません。とにかく必死に生きる術を探していました。バイトをして、とにかくいろいろな人たちのところに顔を出して・・・。とにかく自分を売り込もうと必死でした。

 

そんな時に平山素子さんに目をかけていただいたことは、僕の人生において本当にラッキーな出来事でした。素子さんに拾っていただいてから、日本ではたくさんの方々の作品に参加させていただき、たくさんの経験を積ませていただきました。やりたくてもヨーロッパでやる機会のほとんどなかった振付をたくさんする機会もいただき、こうやってフランスで滞在制作をして海外で公演する機会をいただけるようになりました。僕の振付家・ダンサーとしての本当のスタートは、２０１３年の6月、２５歳の時にあの新国立劇場の舞台に立ったところから始まったと思っています。

 

 

あれから５年、こんなにもたくさんの人たちが僕を応援をしてくれるようになり、「鈴木竜の作品が見たい」、「鈴木竜の活動を支援したい」と言ってくれる人たちが100人以上もいるというのは、僕にとって本当に大きな意味を持っています。そして、これは僕個人の問題だけではなく、必死に今を生き抜いている若手芸術家たちにとっても価値のあることだと思っています。

 

僕がいま、ほかの若手振付家たちに伝えたいのは、

 

鈴木竜にできることは、あなたにも絶対できる

 

ということです。底辺ダンサーの鈴木竜が100万円集められるんだから、他の若手たちもみんな絶対にできます。我々のことを応援してくれる人はこんなにもたくさんいるんです。ご支援くださった方々100名を超える方々がその証明です。

 

「お金がない」「時間がない」「私は向いてない」とかごちゃごちゃ言ってないで、なんでもいいからやってみて下さい。 そして、一歩を踏み出して下さい。我々ダンサーが思っているより、この社会は芸術を必要としています。でも、我々が助けを求めなければ誰も気がつきません。這いずり回るんです。這いずり回って声をあげ続ければ絶対に人は気づいてくれます。我々は、ただ寝転んで手が差し伸べられるのを待っていたらダメなんです。我々の世代が動かなければ、日本人のダンスや芸術に対する意識は変わりません。誰かが変えてくれるのを待っていたら、ダメです。我々が変えるんです。

 

どうせ５万も１０万も地腹を切って公演をするなら、クラウドファンディングでもなんでもいいのでその分を集めて作品作りをしてみてください。あなたの創作活動は、大きく変わるはずです。あなたの作る作品は、「個人の趣味」から「社会の一部」に変貌します。クラウドファンディングは手間だけでなく手数料もかかります。しかし、だからこそ我々がダンスを作ることで誰かがご飯を食べられるという状況が生まれるんです。我々の活動が誰かの利益になるんです。ダンス界という狭い世界の中だけで生き延びていた我々が、クラウドファンディングをすることによって社会の一部になれるんです。それこそが、クラウドファンディングを使ってダンスを作る意義だと僕は考えています。

 

この最終日、僕が皆さんにお願いしたいのは、鈴木竜が100万円を超える資金を集めることに成功したというこの出来事をできるだけたくさんの人に広めることです。大きく拡散できれば、「やればできる」ということを、できるだけたくさんの若手芸術家たちに知ってもらい、我々は社会に必要とされているんだということを知ってもらえるはずです。そのためには、皆さんの力が必要です。どうか、どうかお願いいたします。

 

このプロジェクトを機に、一緒に這いずり回ってくれるダンサーたちが増えますように。