リアル「ホワイトローズビニール傘物語」１

    創業３００年を記念して、わかる時からの歴史を紐解いてみます

　子供のころの記憶は曖昧なのが普通ですが、明らかに覚えている風景。

4歳のころ（１９５５年生まれですが）、夜になると父、須藤三男（9代目）が、その日出来たビニール傘のカバーを紐でまとめて縛って傘骨と一緒に帰宅します。だいたい毎日６０枚～１００枚ぐらいでしょうか。

　夕食を済ませると、夫婦そろって傘張り作業です。

　よく考えられて作られているのが今さらながら驚きます。独自工夫の「中綴じ」部品まで装着されており、おそらく毎晩３～４時間の仕事だったと思います。

　私は、あるときは月光仮面のスタイルで、あるときは赤胴鈴之助のスタイルで回りを走り廻っていました。

　ただ、だんだん自分もやってみたくなるんですよね、毎日見てると。

　手伝いたいというわけでもなく、褒められたいという動機でもなかったと思うんですが、なんか大人のやってることがしたくなったのではないかと思います。

  もちろん、ろくなことは出来ないんですが、見様見真似で下働きぐらいは出来るようになってきました。

　私のビニールとの出会い、毎日繰り返して行うと褒められること=仕事との出会い、何よりも父母から身をもって学んだ「夫婦の生活のための共同作業」の実際、　今でも忘れられない脳裏の映像です。