【研究進捗報告⑤】溶原ファージの取得

クラウドファンディングにご支援賜り本当にありがとうございました！

ここ最近の研究の進捗を報告致します。

今まで研究進捗としては、犬猫感染症から原因菌を分離し、菌種確定・流行株判定を行い、流行株を殺菌するファージの検索（ファージスクリーニング）を行っているところまでご報告いたしました。

ファージスクリーニングには下水濃縮液を使用しており、頻度高く行うことは困難であり、次回は10月を予定しています。

そこで、それまでの間、溶原ファージというものの取得を試みています。

溶原ファージとは、もともと細菌の中に含まれているファージです。溶原ファージは、細菌の中に取り込まれてしまうという性質があるため、実臨床では使用しづらいのですが、ここ最近の遺伝子工学の発展により、溶原ファージを通常のファージ（溶菌ファージ）へ変えることが可能となり、溶原ファージも実臨床へ使用できる状況となってきました。

そこで、ハナ動物病院・犬と猫の皮膚科から分離した犬猫感染症原因菌を培養しつづけることで飢餓状態を作り出し、溶原ファージの取得を行いました。

写真の小さい穴のような斑点が溶原ファージに特徴的なプラーク（ファージが殺菌してできた穴）で、複数の菌株から複数の溶原ファージを取得できました。

前回取れたファージと併せて、性状解析を進めていきます。またファージスクリーニングも行い、今年度中に、臨床に使用できうるファージの選択まで持っていけることを目指します。なんとか犬猫感染症の新しい治療法を実現し、感染症が治らなくなる未来を防ぐために、精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。