TNRの苦しさ

外の過酷さから猫は完全室内飼いを推奨していますが、相手は元野良ですから奴らは「隙あらば・・」と脱走を試みる訳です

 

私も網戸を破る・外す、サッシの鍵の閉め損ないで芸者開け（仲居開け）されるなど数度、逃げられたことがあります

何れも去勢です

 

不思議なことに別の地区から来て土地勘がないはずなのですが、住んでるうちに己の家が分かるようで家出後数時間で帰宅します

帰巣本能というか体内コンパス、磁覚でしょうか？

 

中には翌日まで逃走し、（付近にいる気配があるので）捕獲に行くこともありますが、幸いにもこれまで、無事に保護出来ています

 

人間の責任ですから猛省です

 

「家出してしまった！」とSOSが入ることもあります

大抵、半径５００ｍ以内に潜んでますから早急に、警察・愛護センター・最寄りの動物病院に電話です

 

うちからは捕獲罠を貸し出すとともに、不用心ではあるのですが家のどこかを（出来たら逃走したと思われる所を）少し開けておくこともすすめます

逃走経路から戻ってくる確率が高いのです

（多頭飼育の場合は、他の子が逃げないように要注意です）

 

この間、捕獲罠に野良が入り、呼び出されてそのままTNRです

ただし、お金がもらえる訳ではないので完全ボランティアになります

「もしかしてワザと野良、入れてねぇか？」と思うくらいネコネコほいほいになってます

 

肝心の家出猫は罠に入るより、開けておいたところから帰ってきた！と言うのが殆どです

行方不明のまま。。。というケースはこれまでないですが、取り返しのつかないことは一瞬で起きます

 

リリースした猫が轢死した事も数度、あります

冷たくなった体を発見すれば「譲渡すればよかった・ウチの子にすればよかった」と後悔し、悲しいですけど変な話、諦めはつきます

 

それよりフッと居なくなる・・・これがいつまでも辛いのです

そしてこっちの方が多いケースです

 

猫好きの著名人は多いです

藤田嗣治

アーネスト・ヘミングウェイ

サルバドール・ダリ

大佛次郎・・・

 

でも何といっても内田百閒でしょう

 

「ノラや」はペットロスに陥った人なら共感し、切なく胸が締め付けられる作品です

 

ちゃんと飼ってる訳ではない野良猫がある日、失踪したことに動揺し、悲しみ、百閒は迷いネコの広告を出します

外国人にも分かるように英語バージョンまで

 

心無い悪戯電話に泣き、何も手につかず、ノラが好物だった食べ物を見るのも辛い

 

明治生まれの男が　文豪がここまで狂おしく猫を思い、泣き暮らす姿に僅かに滑稽さが混じるけど、心に響きます

 

年を取ってからの愛情の対象の喪失というのもあるでしょうが、相手が人間でないからこそ、無償の愛を注いだからこその純粋な悲しみが溢れます

 

永遠の幼子のような存在だからこそ、絶大な力を持つのです

「ちゃんと飼ってなかった」という自責・後悔が大きいのです

 

全ての猫を飼える訳ではなく、耐え難い呵責を抱えることになるからTNR・保護活動は辛いのです