3匹の義兄弟猫のお話（その5）

ケガをきっかけにして新たな縄張りへ移動してしまったチャトラですが、そこには別のチャトラ猫がもう1匹住みついていました。

 

私は新たに現れたチャトラ猫を2号と名付け、チャトラと一緒にお世話をすることにしました。

 

さて、チャトラと2号ですが、見た目は本当にそっくりです。

 

ご丁寧に2匹とも同じような位置に耳カットが入っているので、正面から眺めているとチャトラなのか2号なのか見分けが付かないほど見た目が似ています。

 

おそらくですが、親子や兄弟など血の繋がりがあるような気がします。

 

チャトラと2号の関係性ですが、どうやらチャトラの方が格上らしく、2号はチャトラに逆らうことはありません。

 

ご飯の時もチャトラが先で、2号の方は一歩引いて待っている感じです。

 

また、2匹がじゃれあっている時にチャトラが手を出した時でも、2号は反撃することなく困った顔で小さくなるだけです。

 

こうして、2号という良き弟分ができたチャトラは、以前よりも生き生きしているように感じられました。

 

 

そんなチャトラと2号を眺めながら、私はトラちゃんとクロちゃんがまだ駐車場に居た頃のことを思い出していました。

 

猫プロレスをしながら遊ぶトラちゃんとクロちゃんを、少し遠目から寂しそうにチャトラが眺めていたことがあったのです。

 

きっとチャトラも一緒に遊びたかったのでしょうが、身体の大きなチャトラはトラちゃんとクロちゃんから避けられていて、仲間に入ることができませんでした。

 

そんなチャトラが、ようやく心を許して一緒に遊べる2号という友達を見つけられたのは、私にとっても嬉しいことです。

 

 

私はチャトラと2号のお世話で毎日欠かさず、駐車場に通うようになりました。

 

そんなある日、チャトラと2号の縄張りに見かけないキジトラ猫がやってきました。

 

身体はそれほど大きくはありませんが、未去勢のオスのせいか好戦的な性格のようです。

 

いかにもボス級のチャトラや2号にも怯むことなく、キジトラはケンカを売りに近づいてきました。

 

私は2匹に近づくキジトラを止めようとすると、チャトラが唸りながらキジトラに2、3歩近づいたのです。

 

キジトラの方はチャトラの迫力に押されたのか、チャトラから目を逸らせながら後ずさりして逃げていってしまいました。

 

どうやらチャトラとキジトラの勝負は、チャトラの圧勝だったようです。

 

 

私はケンカにならずに安堵したのですが、このキジトラはなかなかにしつこい猫でした。

 

なんと、その次の日に今度は2号にケンカを売りにやってきたのです。

 

チャトラには負けたキジトラですが、2号には勝てると思ったのか、今度は2号に威嚇されても一歩も引きません。

 

私はさすがに止めようかと見ていたのですが、2匹は威嚇し合うだけで一向に手を出す様子はなかったので、とりあえず様子を見ることにしました。

 

それから1週間ほど、キジトラは毎日のようにやってきては、2号と唸り合いを続ける日々が続きました。

 

お互いに唸り合ってはいるものの、実際にケンカにはならないので、もう放っておくことにしました。

 

そのうちにキジトラも飽きてどこかに行くだろう、くらいに考えていたのです。

 

こうして2週間が過ぎた頃、いつも通りにチャトラと2号のお世話に行くと、例のキジトラと2号が身体を擦り合わせながら、私の元にやってきました。

 

 

つい前日までは散々いがみ合っていた2匹が、どういう経緯で仲良くなったのか、私は面白いやら呆れるやら、という気持ちでした。

 

しかし、猫同士が仲良くなる分には、お世話がしやすくなるので大歓迎です。

 

私は流れてきたキジトラに「流れキジ」という名前を付けて、3匹のお世話をすることになりました。

 

（つづく）