LSDの効果を発揮させる方向・・・1WAY、2WAYそして1.5WAY

今日はすこし難しい（？）話・・・

まずはLSD（リミテッドスリップデフ）の構造のおさらいです。

 

通常のデフは、無限大に左右の力の差を生み出す構造なので、片輪が空中に浮く状況や凍結などでスリップした場合に、スリップしていない車輪ではなくスリップしている側に力を延々と伝えて、結果的に前に進まないという事でした。

 

それを解消すべき生まれたのが、LSD（リミテッドスリップデフ）でしたよね。

 

片輪の駆動力がスリップなどで駆動力を失った際に、LSD内部の楔がデフ内部のクラッチを押し広げて左右の軸を固定しスリップしていない側の車輪にも駆動力を伝えて結果、車両は失速しないというものです。

 

このLSD（リミテッドスリップデフ）に効く力の方向が大別して３種類あります。

 

 

加速方向と減速方向どちらにも効果を発揮する2WAY。

加速方向にのみ効果を発揮する1WAY。

加速方向に大きな効果を発揮し減速方向で僅かに効果を発揮させる1.5WAY。

（但しこちらは特許の問題で生まれたといった方が正解かもしれません）

 

実用車的な車両は悪路を想定した車の（後輪駆動や4WD）の後輪側にはエンジンブレーキ使用時にも走行安定をさせやすくするために2WAYを使用します。

 

操舵輪と駆動輪が兼用になっている前輪駆動車や4WD車の前輪側には通常1WAY（もしくは1.5WAY）を使います。

 

これは、減速時にLSDの効果（左右の車輪が繋がる）が生まれると、通常のデフの効果である左右の内輪差の吸収という機能を制限してしまい、カーブの侵入時に曲がりにくいという結果になるためなんです。

 

1.5WAYは1WAYのパテントを持つCUSCO社さんに対抗して、他メーカーさんが考えた方式であると聞いています。

 

このプロジェクトのiQ専用LSDは1WAYです。

iQは前輪駆動車なので当然ですよね。

 

CUSCO様の協力を得て、その効果の出方のタイミングまで専用チューニングされています。

 

コーナー進入時は超短ホイルベースの車両的な特徴でクイックに、クリッピングポイントあたりからスロットルを開けていくと徐々にLSDの効果が発揮されて加速し、後輪にも荷重がかかり安定する。

 

LSD（リミテッドスリップデフ）装着後は駆動輪に関わる問題だけではなく、車体運動性能や特性までも激変します。

 

乗って楽しい、万が一の時の安心マージンも向上する最高の部品です。

但し、CVTやATの前輪駆動車や4WDの前輪側には技術的に装着不可能なんですがその理由は機会があれば・・・