「絵は描くものではなくて、”とる”もの」木版画家　名嘉睦稔

今の我々の文明の利器っていうか、それでは、たとえこんな大きな大木であっても、わずか何時間の間に切ってしまうんですよね。樹が抱えてきた途方もない時間というか、それをいとも簡単に、人間は短い時間で切ってしまう。

　生き物として、動物としての我々ってのは、いつも早く答えを求めすぎる。僕は時間のズレだと思うんですよね。生き物としての時間の違い。何か、その樹の言葉っていうか、動物である僕らの言葉とちょっと違う言葉なんですけど、非常に長い時間の中で説明してゆく。誰だって聞いているんですよね。聞いているのに、これを聞いていると思えないわけですよ。

　特にあの、神さまの言葉が聴こえるって言うと、音として聞こえたり、文字として見えたりとかいう風にみんな思っちゃうんですよね、そうじゃないですよね。神様の声なんてのは、ホントに”想う”ものですよね。だから、僕らにとっては、キジムナーがいることが重要だと思うんですよね。

※キジムナー：沖縄諸島周辺で伝承されてきた伝説上の生物、妖怪で樹木（一般的にはガジュマルの古木であることが多い）の精霊。（Wikipediaより）

（木版画家の名嘉睦稔さんは、２０２５年7月２６日土曜日午後６時から「屋久島環境文化村センター」で上映が予定されている「地球交響曲ガイアシンフォニー」第四番に出演されています。あなたの１０００円のご支援で離島に住む方も視聴することができます。ご協力ありがとうございます。）