主人公の紹介：椿延子さん（坂井真紀子）

　みなさま、『ニョタのふしぎな音楽』へのご支援とご声援、いつもありがとうございます。

　今日はこの絵本の主人公の1人、椿延子さんをご紹介します。ご本人は、絵本の中で村に遊びに来た日本のこども“つばきちゃん”として登場しています。イマンジャマさんの絵をはじめて見たとき、思わず笑みがこぼれました。なぜって、そこにいる子は本当に椿さんそのままなんです。イマンジャマさんの本質をつかむ力はすごいですね。

　普段の椿さんも、いつもトットコトットコ村を歩いて、いろいろな人とおしゃべりして、悩みを聞いて、どうしたらいいだろうと頭を悩ませています。普段はとてもシャイで寡黙、でもいいアイデアを思いつくと、いてもたってもいられなくて体が勝手に動き出している。椿さんはそんな人です。

　私が椿さんに初めてお会いしたのは2010年、私にとって初めてタンザニア滞在のときでした。それまで長く行き来していた仏語圏のチャドが治安の悪化で入れなくなったあと、福井県立大学の杉村和彦さんのお誘いで、ドドマに長期滞在して調査に加わることになりました。これが阪本さんと杉山さんと一緒に調査研究をするご縁となりました。当時私は、当然ながらスワヒリ語は全くの初習者、右も左もわからず、椿さんに金魚のフンのようにくっついていろいろなところに連れて行っていただきました。ご家族にも大変お世話になっています。

　椿延子さんは北海道の蘭越町出身。大学で栄養学を学んだあと、初期の青年海外協力隊に応募し栄養士としてタンザニアに赴任しました。保健省のプロジェクトに配属され、栄養バランスを考えた学校給食のメニューを考えたそうです。タンザニアの食堂では、アフリカでは珍しいお子様ランチみたいに仕切りのある一枚皿に、メイン、主食のウガリ、野菜、豆など盛り付けてでてくるのですが、それはもしかすると椿さんの仕業かもしれません。当時の協力隊は何回も任期延長ができたそうで、気がつけば現在の夫であるズルンゲさんと結婚し二児の母に。椿さんは協力隊を終えたのち、農学校で教鞭をとり、日本の環境NGOの事務局として、ドドマで植林や適正技術の普及を長年おこなってきました。『ニョタのふしぎな音楽』は、そうした椿さんのご経験がベースになっています。

　 明日は、最近の椿さんのご活動についてご紹介します。お楽しみに。