ゴゴ人の音楽　パート１：ゴゴ人の暮らしと音楽（鶴田格）

　リターンにご用意しているオリジナルDVDはタンザニア中央部のドドマ州にすむゴゴ人の代表的な音楽レパートリーを収録したものです。ゴゴ人は（農業を営むには限界に近い）半乾燥地で、農耕と牧畜を営んで暮らしています。一般には、ゴゴ人は経済発展からとり残されたマイナスのイメージが強いのですが、そのユニークな音楽ははやくから音楽学者の注目を集め、また全国的に知られてきました。フクウェ・ザウォセ氏などの国際的に著名な音楽家も生み出しています。ゴゴ人の音楽の具体的な特徴としては、（音楽学者がポリフォニーとよぶ）複雑なコーラス、大型の親指ピアノや弦楽器などの楽器、太鼓が女性だけによって演奏されることなどが挙げられます。

　ゴゴ人の伝統的な生活のなかで、音楽は欠かせないものでした。農耕や牧畜など生業に関わりの深いジャンルとしては、雨乞い儀礼の音楽musunyunhoやウシの足の病気を治療するためのcaholaというものがあります（詳しくは、パート３で説明します）。男性や女性の成人儀礼（割礼など）でも、歌と踊りは不可欠でした。除草や脱穀などの農作業では、今でも歌が歌われています。しかし、こうした日常生活のなかで演じられる伝統的な音楽ジャンルは衰退しつつあり、なかには既に演じられなくなったものもあります。

　このDVDに収録されたパフォーマンスは、実はこうした伝統的な音楽スタイルとは一線を画しており、社会主義時代（1970年～1980年代）にステージ・パフォーマンスとして確立されたスタイルなのです。もちろん、それぞれ伝統的な音楽ジャンルに起源をもっていますが、舞台芸として洗練されたスタイル（衣装やふりつけを含め）に進化しています。

　※ニョタのオリジナルDVDの製作をされた鶴田格（近畿大学）さんの応援記事をシリーズでお送りします（木全由規さんにホームページ記事の形に編集協力いただきました）。

　※パート２は、ニョタに関するお話です。お楽しみに★