ゴゴ人の音楽　パート２：ニョタ（Nyota）について（鶴田格）

　社会主義時代には、（植民地時代には軽蔑されてきた）アフリカ的な民俗芸能を振興するために、各地方で音楽コンテストがさかんに行われました。そうしたなかで、生活のなかで自分たち自身が楽しむために（あるいは儀礼的な目的で）行ってきた芸能が、舞台のうえで専門家集団が聴衆にむけて演じるエンターテイメントに変化したのです。

　演奏しているのは、絵本に登場するマジェレコ村のニョタ（「星」）という芸能集団です。マジェレコ村は、1970年頃に、社会主義的な集村化政策のもとで周辺住民が強制的に一ヵ所に移住させられてできた村です。それ以前のマジェレコ村近辺には雨乞いの音楽musunyunhoを演じるたくさんのインフォーマルなグループがあったのですが、政府主催の音楽コンテストに出場するグループとして1981年頃にニョタが正式に発足することになりました。

　コンテストで近隣村と競争していくうちに徐々に実力をつけ、与党CCMの重鎮ジョン・マレチェラ元首相（ゴゴ人）とのコネクションもあって、国家レベルのさまざまなイベントやCCMの選挙キャンペーンなどに頻繁に動員されるようになっていきました。2013年には、ルワンダで開催されたある式典に国を代表して参加しました。ニョタは、ゴゴ人の伝統音楽を代表するトップクラスのグループのひとつといえます。

※ニョタのオリジナルDVDの製作をされた鶴田格（近畿大学）さんの応援記事をシリーズでお送りします（木全由規さんにホームページ記事の形に編集協力いただきました）。

※パート３は、ゴゴ人の音楽のジャンルに関するお話です。お楽しみに★