ひきこもり中の忘れられない出来事

私がひきこもっていた頃、
ある友人が、私の部屋に尋ねてきてくれました。
その時私は、親元を離れてアパートで一人暮らしをしていました。

部屋の掃除もできず、洗い物が溜まった流しを見た友人は、
「私が洗いますよ」
と言ってテキパキと洗い物を始めました。
私が「悪いね、ごめんなさい」と言うと
「大丈夫です。智子さんの役に立てて嬉しい」
と言ってニコニコと生ゴミの片付けまでしてくれました。

その時気がついたことがあります。
「あ、助けてもらってもいいんだ」

私がひきこもりだった頃、私はずっと自分を責めていました。
「自分のことは自分でやらなければいけない」
「助けてもらってはいけない」
なぜかそう思い込んでいました。

しかし、1人の友人の私を思ってしてくれた事は、私の価値観を変えてくれました。

このことをきっかけに、私はさまざまな支援制度を利用するようになりました。

「沢山の人に支えられてリカバリーした私だから、今度は誰かの役に立ちたい」

その思いはろうそくの灯火のように、ずっと静かに私の胸で燃えています。