ロービジョンとブラインドの新しい定義：RETISSAのミッション

　世界中の様々な疾患はICD(International Classification of Diseases)という国際疾病分類で整理されていて、そのうちの眼疾患に関しては、WHO失明予防研究グループの1972年の活動に端を発して、標準化作業が進められてきました。ICD- 11はその11番目の改訂版で、2022年1月1日に、ICD-10から更新されます。

　ロービジョンとブラインドの以前の定義は、次のようなものでした（当社のドイツの臨床試験でも参照していたものです）。[1]：

・ロービジョン：良いほうの目の最大矯正視力が0.05以上０．３未満。

・ブラインド：良いほうの目の最大矯正視力が0.05未満。

 

　ICD-11におけるロービジョンとブラインドの新しい定義と分類は次の通りです：

「ロービジョンとは、治療や標準的な屈折矯正を行った後でも視覚障害が残り、視力が0.3未満、または視野が固視点から10度以下で、それにもかかわらず、何かを計画したり、仕事をするのに視力を使っている、あるいは使う可能性がある個人」[2]

　新分類表が表１です。従来のロービジョンとブラインドの視力分類は維持されたまま、より詳細な分類になりました。よりきめ細かな治療や支援が可能になることを意図しているのでしょう。

        表１　新しいロービジョンとブラインドの分類

 

  WＨＯによれば、「老眼まで含めると全世界では２２億人の視覚障害者（ロービジョンとブラインド）が存在し、そのうち治療開始が遅すぎた、あるいは治療していないという人は10億人にのぼります。内訳は次のとおりです：対処されていない屈折異常（8,840万人）、白内障（9,400万人）、緑内障（770万人）、角膜混濁（420万人）、糖尿病網膜症（390万人）、トラコーマ（200万）、老眼（8億2600万）。」([3]を少々意訳しました）。

　この新しい定義は明確な示唆を含んでいます。RETISSAは、ロービジョンの方々が「何かを計画し、仕事をこなせる」ことを目指さなければなりません。RETISSA Super Capture を使った子どもたちが、新しい何かを作り出してくれるといいなと思います。また近々、アイウエアRETISSA DisplayⅡ＋カメラを使って資格試験に挑む方を、御紹介できる予定です。

 

御参考

[1]https://www.who.int/blindness/GLOBALDATAFINALforweb.pdf

[2]https://www.zoomax.com/low-vision-information/WHO-Definitions-of-Low-Vision.html

[3]https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/blindness-and-visual-impairment