応援メッセージ（27）シチズンシップ共育企画　川中大輔 さん

近代スポーツの主流が作り上げた競争原理や勝敗主義，結果志向，規律重視といった諸価値への抵抗から1960年代に「新しいレジャー・ムーブメント」が起こった。

スケートボーディングはその動きの中で確立されていったものの一つに位置づけられている。

このことは，試行錯誤の過程も含めて競技者がくり出す表現を相互に面白がってたたえ合う姿や，個の自由を尊重した上で水平的関係を構築するスケボー仲間の緩やかな共同性に見て取ることができる。 　

スケートボーディングの身体的実践はスポーツや遊び，共同体のあり方についての問いかけを私たちに発している。

この問いかけへの応答を通じて，私たちは新たなスポーツ文化やライフスタイルを創りあげていく手がかりを得られるのではないだろうか。 　

そのような身体的／社会的な運動の拠点が，スケートボーディングを生活の中で大切にしてきた若者の手によって構想され，具体化され，発信されていくことの意味は大きい。

オルタナティブな価値が表現されていくことを応援しながら，その表現からの気づきを探っていきたい。


シチズンシップ共育企画代表・龍谷大学准教授
川中 大輔