なぜモバイルクリニックは建築用コンテナを使っているのか？

本日は「建築用コンテナ」とは？

という観点から、情報を更新させていただきます。

 

コンテナと聞いたらほとんどの方が港に置いてある、輸送用の海上コンテナを思い浮かべると思います。私も以前はそうでした。

 

見た目はよく似ているのですが、建築用コンテナは構造が全く異なります。

 

そこで、建築用コンテナについてモバイルクリニックの製造元であるFOREMOST株式会社様のホームページの記事を引用しつつ、なぜモバイルクリニックは海上コンテナがベースではなく、建築用コンテナがベースなのかという点も踏まえ説明させていただきます。

 

◆建築用コンテナに必要な条件

 

それでは、「建築用コンテナ」（建築の世界で言うJISコンテナ）の必要条件をまとめてみます。

1．主要構造材がJIS鋼材で造られていること。（ミルシートの提出が可能）
2．主要構造材を溶接する溶接技術者は、溶接技能認定（JIS規格）を取得していること。
3．コンテナ製造工場が、鉄骨製作工場認定を受けていること。（国土交通大臣認定）
4．建築確認申請に必要な構造計算が可能で、構造計算書が提出できること。

これらの条件を満たしているコンテナが、日本で建築用として使える建築用コンテナです。

 

この条件を満たしていないと建築用として使うことは認められません。

 

 

コンテナ四隅の柱のように見えるコーナーポストは、柱ではなく、鋼板を折り曲げて作られています。

 

また、コーナーキャスティング（クレーンで吊り上げる部分）は鋳物で、建築で言うところの床梁に当たる部分にはCチャンネルという部材が使われますが、海上コンテナの中間には必ずフォークポケット（フォークリフトの爪を入れるための穴）が開いています。

 

モバイルクリニックの画像はフォークポケットが開いておりますが、新着情報の画像にもある通り実物は開いておりません。これは海上コンテナの３D図を元に作成しておりますので、フォークポケットとコーナーキャスティングが実際とは異なっております。

 

◆建築用コンテナの構造

 

それに対して建築用のコンテナは、パネル構造ではなく、ラーメン構造（長方形に組んだ骨組みの柱と梁との各接合箇所（角部分）を剛接合した構造形式）です。

 

 

 

建築用コンテナと海上コンテナで根本的に違う部分は、

 

	ISOコンテナ	建築用コンテナ
構造	パネル構造	ラーメン構造
コーナーポスト	折り曲げ鋼板	角鋼管
キャスティング	鋳物	角鋼管と一体化
梁	Cチャンネルや細い角鋼管	角鋼管
フォークポケット	有り	無し
基礎への固定	想定されていない	柱脚にベースプレート溶接

 

（※あくまでFOREMOSTの建築コンテナについてであり、他の構造の建築コンテナもあります。）細かい違いは他にも沢山ありますが、構造に関わる部分ではこのように比較することができます。

 

確かに港に並べている中古の海上コンテナを使うと、作るだけならコストも安価で早く作ることができます。

 

ただモバイルクリニックは、仮設ではなく常設で使うことも想定されております。

 

そのため、海上コンテナベースでは製造コストは安いが常設物とする際には建築確認に多くのコストと時間が必要になり、結果的に最初から建築用コンテナをベースにしたほうが総コストも時間も短縮できます。

 

それによってモバイルクリニックの強みである、

 

①仮設物としても利用可能　

②常設物としても利用可能　

③トラックに搭載して常に移動する施設としても利用可能　

 

という3タイプでの利用が可能になります。井戸兵庫県知事も応援メッセージでも触れられておりましたが、コロナウイルスの終息後に災害医療の現場に使いたいと仰っておられましたが災害医療の現場にもフレキシブルに対応できるのがモバイルクリニックです。

 

本記事は、FOREMOST株式会社様（https://foremost.tokyo/）の記事を一部引用させていただいております。