② 花粉を運ぶメッセンジャー

ウミショウブの面白さは雄花に尽きます。
大潮の干潮になると海底から解き放たれた雄花が水面に浮かび上がります。

その大きさはお米の粒くらい。バナナの皮をむいたように花びらをくるっと裏返し、海水を抱え込んで表面張力を利用しながら花粉を高々と持ち上げて水面の上に立ち上がるのです。

開花のピークは梅雨明けの頃。北上した梅雨前線に吹き込む強い南風に乗って雄花は海面をすべるように移動します。花粉を運ぶ無数のメッセンジャー。雄花がサンゴ礁の浅瀬を白く埋めつくすあの光景を、もう一度見てみたい。子どもたちにも見せてあげたい。みなさんにも見てもらいたい…。