菩提樹の香り

先日、広島でお寺のご住職をしている友人を訪ねて初めてお寺へ行ってきました。

今から20年以上前、友人が滋賀に少しだけ暮らしていた時に、同じ賃貸のマンションに暮らしていたことがご縁で、その後お寺を継ぐために広島へ戻った後も、長く交友を続けさせていただいてきました。

サザエさんを地で行く明るい友人は、離れていても私の人生において何度も何度も支えてくれました。

そのたびいつも言ってくれた言葉は「わかるよ～。」

友人に話させてもらって、悲しみや苦しみを受け止めてもらえたことが何よりうれしかったです。

そして今回は私がどうしても支えなければと、色々と抱えている中でしたが思い切って会いに行きました。

広島駅まで車で迎えに来てくれてお寺に入ったとたん、辺り一面に漂う甘い香りに驚きました。

私がその事を尋ねると「あの菩提樹の花の香りだよ。」と教えてくれました。

見上げると親鸞聖人の像の後ろに大きな二本の菩提樹があり、満開に開いた小さい黄色の花が心地よい風に吹かれていました。

ご近所の方にもよく、何の香りですか？と聞かれるよ、と話してくれてしばし菩提樹を眺めながら、香水の原料にも使われている芳しい香りに、二人包まれていました。

昨日ウォーキングの途中、ふとあの時の菩提樹の香りがしてきました。

辺りを見渡してみましたが、どこに木があるのかはみつけられませんでした。

あの時、私が何かのお役に立てたかはわかりません。

何もできなかったとしても、菩提樹の香りで友人を思い出すように、お寺で一緒に木を眺めたことを思い出してくれてたら嬉しいです。