〜　フジタに憧れて　 〜

〜　フジタに憧れて　〜
投入堂を描き終える前後は何せ筆を持っていないと不安な日々が続きました。「取り憑かれた様に」という言葉が近いかも知れません。足は結構早い段階で元通りに近づきました。しかしながら手・指はなかなか元通りにはならずかなり凹みました。このままでは終われない。もう一度筆を持ちたい一心でまずは約30年吸っていたタバコを止めようと決意致しました。かなりのヘビースモーカーでしたが電子タバコ・禁煙パイポ他を吸いながら禁煙に成功しました。（喫煙の習慣がおありの方はきっとわかって頂けると思います）半年間は左手で描いていました。それはそれで新たな発見があり利き腕では表現出来ない面白さも味わう事が出来ました。その頃もはや国際コンクールに入選できた感動も薄れていました。先方（美術社）もビジネスなんである程度の作品なら通すのかも？！と感じ始め
ていました。

その後、以前より抱いていましたフジタ（藤田嗣治）が当時エコール・ド・パリの寵児となるきっかけとなるコンクール（サロン・ドートンヌ）に自分も挑戦し、いつか同じスタートラインに立って見たいと夢を描いていました。ただ初病後（脳梗塞）まだ回復基調にあるも元には戻っっていませんでした。この発病がきっかけでただただシャカリキに描くと言うよりもまあ命拾いしてサンマさんではございませんが「生きてるだけで丸儲け」の様な、いい意味での抜け感というものを経験した様な気が致します。結果ばかりを欲しがっている時は願望が叶わず「まあいいか」といい意味で開き直った時、案外結果が良かったりするものですね（笑）フジタが当時筆一本で自らの人生を切り拓いた生き方に因み、タイトルは”自燈明”としました。