オストメイトの方々の抱える日常生活での懸念　その２

オストメイトの方々の中には元々温泉が好きでよく行っていたけれどストーマを造設してからはそういった場所に行くことが無くなった、という人がいらっしゃいます。（公衆浴場を利用しない36％、無回答21.6%：日本オストメイト協会主催 第8回オストメイト生活実態基本調査報告書https://www.joa-net.org/contents/report1/pdf/seikatsu-fukushi_2019.pdf ）

「オストメイトが温泉にいくときには装具が目立たないようにしましょう、人が少ない時間を見計らって入浴する、家族風呂などを利用すると良いでしょう。」

医療機関ではオストメイトに公衆での入浴時の注意事項としてそのようにアドバイスをしています。それが一番（オストメイトにとって嫌な思いもしない、）何も起こらなくて済む、という視点でのアドバイスかと思います。

しかし何も起こらないということはいなかったことにされているわけで、これこそが600人に1人いるはずのオストメイトの方がそこまで健常者にとって身近にいる実感がない理由なのではないでしょうか？？

オストメイトの方達もこの医療機関のアドバイスに同意し、行かない選択肢になってしまったのであれば非常に辛いことです…ストーマが理由で温泉に行くことをあきらめてしまっているわけですから

健常者がパウチを見る機会がこれからも少ないままならば、今後も殆どの人々はオストメイトの方々がどんな日常生活を送っているのか知らないまま、いなかったものとされるわけで、その理解も進まず両者の隔たりは変わらないままではないかと思いました。

これを打開するにはどうしたらいいのでしょうか…？周囲の理解が進むことが大事なのではないでしょうか？

健常者がオストメイトと公衆浴場などで遭遇しても戸惑うこともなく、さりげない気遣いができるように、社会が変わらないとストーマ保有者が気兼ねなく温泉に行ける世の中にはならないかと思います。

 

お風呂の場面における配慮されるべき人たちはオストメイトだけではありません。例えば乳がんの術後で傷跡を見せたくない方やLGBTだから身体を見せたくない人、tattooを入れていている人もそうかもしれません。配慮されるべき方々に対して周囲が好奇の眼で見るではなく、温かい眼差しで見守って行けるように啓発、周知を進めていくことが大事かと思います。大変スケールの大きな話になってきていますがそれだけこの問題は多くの人たちにとって大事なことかと思います。

 

公衆浴場などでオストメイトと健常者が遭遇する機会があった時に、何か喋ろうと思っても次の言葉が出ない、そんな時にお互いが気まずくならない会話ツールとして、カラフルストマが一助となったら…いつかそんな日が来ることを夢見ています。

 

 

 

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小林内科小児科医院　小林稔