修理経過報告（３）甲冑２領の修理が完了しました

　当館のクラウドファンディング「文化財修理プロジェクト第２弾」で皆様からいただいたご寄付をもとに、島原の乱で着用されたと伝わる「銀札啄木糸射向紅威丸胴具足（ぎんざねたくぼくいといむけくれないおどしまるどうぐそく）」（細川忠利所用）と「栗色革包紫糸威二枚胴具足（くりいろかわづつみむらさきいとおどしにまいどうぐそく）」（細川光尚所用）の修理をおこないました。

 

 

銀札啄木糸射向紅威丸胴具足（細川忠利所用）

　忠利所用の甲冑は、草摺（くさずり）部分の威糸（おどしいと）が欠失し、残る縹（はなだ）色の糸も後補であったため、細川家の武具を描いた「御甲冑等之図」（文政11年〈1828〉、熊本大学附属図書館寄託）を参考にしながら、啄木糸（たくぼくいと〈色糸を交えて組んだ糸〉）を再現し、威糸を付け替えるなどしました。また、山鳥の頭立は羽が傷みやすいため、今後の展示を考慮して新規作成しました。

 

 

 

 

 

 

 

栗色革包紫糸威二枚胴具足（細川光尚所用）

　光尚所用の甲冑は、兜や胴、籠手（こて）、佩盾（はいだて）などに漆の剥落や錆が発生していたため、漆での補修や防錆措置を施しました。また、欠失していた繰締緒（くりじめのお〈胴の下端につける紐〉）は威糸と同じ紫色で新補、さらに、抜け落ちていた草摺裾の熊毛は新たに植毛するなどしました。

 

 

 

 

 

 

　近年では状態が悪く展示ができていませんでしたが、この度の修理により、安全に美しく展示ができるようになりました。2026年春頃のお披露目を検討中ですので、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。皆様のご支援に厚く御礼申し上げます。