
支援総額
目標金額 1,000,000円
- 支援者
- 202人
- 募集終了日
- 2021年8月26日
木村公一さん(実行委員会共同代表)を取材しました
今回は、私たち 劇団石(トル)福岡公演実行委員会の共同代表の一人である、木村公一さんにお話を伺いました。木村さんはキリスト教の牧師で、私が2017年に初めて劇団石(トル)の公演を福岡で開催しようとしたときに、一緒に会場を探し、チラシを配り、宣伝をし、看板を立て、劇団関係者をご自宅に泊め…とにかくたくさん力になってくださった方です。
あの頃は、身近に劇団石(トル)を知っている人がほぼいない中で、赤字を出しながらも「なんとか今後も劇団石(トル)の公演を福岡でやり続けよう」と、もがいていたのですが、今では福岡でも多くの人たちが劇団石(トル)を知るようになり、朝鮮学校ともつながり、こんなしっかりした実行委員のメンバーが集まりました。その過程をずっと、変わらずに見守ってくださる木村さんには感謝しかありません。

そして、実は本人も忘れていたほど遥か昔に異国の地できむきがんと出会っていたのですから驚きです。本当にご縁というのは不思議なものだと思わざるを得ません。まずはその話から・・・
思いがけぬ再会
2017年5月。『想 sou』公演 開催のために劇団石(トル)が来福し、木村さんは劇団石(トル)と初めて対面します。その後みんなで地元のNPOの集まりに参加して夕食をいただき、和気あいあいと韓国~在日~高江(沖縄)~糸島 の交流をしていた際に、木村さんのインドネシアでの話になりました。木村さんは1986年から2002年までの17年間、インドネシアのバプテスト神学大学で神学教授をしていたからです。

2017年5月12日@糸島
それを受け、きがんちゃんも、20年近く前に日本キリスト教団がやっている「アジア国際夏季学校」のスタディツアーに参加して、インドネシアのスラムを訪れた経験を話し始めると・・・二人は「あれ?」「もしかして??」と気付きます。なんと、木村さんはきがんちゃんが参加したツアーの通訳だったのです。
ひとしきり、4年前の驚きの思い出話をした後、私が「20年も前の一人のツアー客を、よく覚えていましたね」と言うと、木村さんは「強烈だったからですよ」と、教えてくれました。ツアーのお客さんでたった一人、ジャカルタのスラム街でドロドロの川に飛び込んで現地の子どもたちと遊んだのが、きむきがんだったからだそうです。

2017年5月『想 sou』福岡公演2日目@糸島

公演後の打ち上げ@木村邸
(きむきがんからの余談:インドネシアで出会った慰安婦のハルモニはお二人で、日付を超えてお話してくださったそうです。「 遅くまですみません」と言うと、「どうせ眠れないからいいよ、いいよ」と何度も言ってくれ、帰る時にハグをしてくれたそうです。その際、「あなたアクトレス?頑張ってね」と言われ、今思えば それがそもそもの「キャラメル」の原動力だったんだな〜、とのこと。そしてこの時の通訳が、木村牧師だったのでした。)
インドネシアの慰安婦問題
「今度のトルのお芝居は、従軍慰安婦だったハルモニたちのお話ですよ」と言うと、木村さんは、インドネシアの慰安婦問題について話を始めました。
木村さんは被害者を訪ねまわり、2007年にその証言をもとにした『モモエ:彼らは私をそう呼んだ』(エカ・ヒンドラとの共著/原題『Momoye, Mereka Memanggilku』)を発表しました。発行部数は一万部をこえ、インドネシアで慰安婦問題に対する理解が広がるきっかけとして一役買います。
この本が、このたび韓国語に翻訳されることになったそうです。なぜ今、韓国で再版がかかるのか?ーー木村さんは「慰安婦問題は日本対韓国の対立構造の中にとどまる問題ではなく、もっと普遍的なものだから」と言います。
被害は日本人、朝鮮人、台湾人、中国人、華僑(華人)、フィリピン人、インドネシア人、ティモール人、ベトナム人、マレー人、タイ人、ビルマ人、インド人、ユーラシアン(欧亜混血)、グアム、太平洋諸島の人々、(インドネシア在住の)オランダ人などにまで及び、一般社会で思われている従軍慰安婦=韓国/朝鮮 というイメージはとはだいぶ違います。
そして、いっこうに事実を認めず謝罪が進まない日本政府が、唯一、旧日本軍による慰安婦の強制連行を示す【証拠】として認めたのが、「バタビア(現・ジャカルタ)臨時軍法会議の記録」なのです。
※第一次安倍政権で安倍晋三氏が「強制連行を示す証拠はなかった」(2013年2月7日、衆院予算委員会)と発言し、現在まで訂正していませんが、河野談話と発表した資料一覧の中に、バタビア裁判記録の要約があることが明らかになっています。
記録によると、第二次大戦中の1944年、日本占領下のオランダ領東インド(現・インドネシア)のジャワ島・スマランで、日本軍将校らがオランダ人抑留所からオランダ人女性を慰安所に強制連行し、脅すなどして売春を強要したとあり、そのことで実際に11人が起訴され、慰安所を開いた責任者の少佐には死刑が、6人の将校と4人の慰安所業者には2年から20年の禁固刑が言い渡されました。(BC級バタビア裁判・スマラン事件)
そのうち日本はそっぽを向かれる
日本社会では「強制連行はなかった」「河野談話は撤回すべき」「慰安婦の証言はねつ造」など、事実に反する言説や言動(ヘイトスピーチやデモなど)が繰り返されていますが、木村さんは「日本は罪を認めて謝罪すべき」と断言します。
ドイツはそれをやったから、近隣諸国に受け入れられました。しかし日本はどうでしょうか。これは外交問題にも通じることです。例えば親しく交際する範囲は昔から「向こう三軒両隣」と言われますが、日本は尖閣列島(台湾/中国)、竹島(韓国)、北方領土(ロシア)と、隣接する国の3つの国境で争いを起こしています。そんな家を一体どんな隣人が受け入れてくれるというのでしょうか、と。

インドネシアで飾られる万国旗にはオランダと日本がないのだそう
元首相への手紙
謝罪について話をしていると、木村さんが家の奥から一通の封筒を持ち出して来ました。私は宛名を見てびっくりしました。「中曽根康弘様」とあったからです。
2009年。木村さんは証言集会を開くために、インドネシアからスハルティさんという女性を日本に招きますが、その2ヶ月ほど前に、「バリクパパンの街にジャワ島から連れてこられた当時15歳の少女が日本に来るからお会いしてほしい」と中曽根元総理に直筆の手紙で気持ちを伝えました。その結果、秘書を通じて ①メディアの同伴は一切なし ②「謝罪」のお願いはなし と言う条件付きでの面会が約束されたのでした。(注:木村さんは同じ手紙を2通用意。1通は中曽根氏へ、1通は保管=今回写真を撮らせていただいたもの、となっています。)
TBS報道特集「インドネシアでの戦時性暴力」2015年7月25日放送
https://www.dailymotion.com/video/x396y1v
当時、公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所を設立していた元首相に向けて、「日本の保守政治家の道義心の模範を示すことになる」「日本の戦中・戦後責任を言明する良い機会となる」と丁寧に書き綴られた手紙は、間違いなく新しい日本の姿を予見させるものでした。木村さんも、「二人が会えばきっと何かが起きる」と確信していたと言います。


しかし当日、スハルティさんと一緒に面会に行くも、なんと土壇場でキャンセルされてしまいます。その理由が、「インフルエンザが流行っているので、家族が外に出ることを心配しているから」だったそうです。
当時の外務大臣は中曽根弘文氏。木村さんは「インフルエンザを心配する家族」=「息子」なのだと理解した、と言います。きっと、百戦錬磨の元首相だからこそ何もかもわかった上で会おうとしてくれていたけれど、例え非公式でも、”現職の外務大臣の父親が旧日本軍による性暴力被害者に会う”ということを日本政府が許さなかったのだな、と。
そしてこの"ドタキャンエピソード"を、ちょうど昨日、オランダのジャーナリストに聞かれて回答したところだった、というタイムリーな小ネタもついでに教えてもらいました。


糸島デモクラシー塾
そんな木村さんは2年半ほど前から、一人の牧師として月に一度、深江の赤星邸にて「糸島デモクラシー塾」という取り組みを続けています。人の悩み、苦しみ、たたかいの話をみんなで聞き、課題をシェアするのだそうです。
唐津と糸島にまたがる脊振山系西側で進められている風力発電所の建設問題や
学校の校則問題、高齢者の介護問題など、その日のスピーカーによってテーマはさまざまですが、木村さんは牧師という立場で苦しんでいる人にとことん寄り添います。長年教育現場に携わってきたこともあり、例えば学校の校則についての申し入れや面談等の際には、毎回学校や教育委員会まで出向いて、訴える保護者に付き添うのだそうです。

毎月第4水曜開催の糸島デモクラシー塾
(写真の提供/赤星博子さん)
朝鮮学校の校舎の雨漏りのこと、福岡市から公的補助が受けられないこと、無償化から除外されていることなど、非道徳的なやり方が目に余る権力に対し、「道徳という言葉を正しく真正な本来の意味で使うべきだ」、「責任者が責任を取らない習俗を作って来てしまった結果だ」と言います。
在日コリアンの配偶者を持つ木村さんは、日本社会の差別構造も嫌と言うほどわかっています。だからこそ、様々な問題は「政治」の問題で片付けるのではなく、きっちり「道徳」の問題に据え置いて、「人間の道」として切り返すべきだ、と。
この木村さんの言葉は、辺野古の埋め立て用の土砂に、沖縄島南部の遺骨混じりの土砂が使われようとしている問題で、遺骨発掘収集ボランティアの具志堅隆松さんが、「これは”人道上”の問題です」と訴えていることにもぴったり重なります。
ハンスト3日目 県議会へ陳情提出/QAB NEWS
たたかいは今
道徳的な人間100人で構成された村でも、非道徳な社会になるという研究があるそうです(『道徳的人間と非道徳的社会/Moral Man and Immoral Society』:ラインホルドニーバー/Reinhold Niebuhr著)。これはまるで、私たちの社会を表しているかのような話です。
「自分の生活スタイルを邪魔しない人であれば政治家なんて誰でもいい」なんていうメンタリティの社会は、デモクラシーの準備が整っているとは到底言えません。民衆が主権者になるためには、歴史から学び、現状を把握し、想像力を鍛えないといけない、と木村さんは言います。日本の学校教育では近代史が疎かにされるのに対し、韓国では徹底的に勉強するのだそうです。そんな韓国が、キャンドルデモで朴槿恵(パク・クネ)政権を退陣させたのは2017年。たったの4年前の話です。

私たちのような声が政治的なうねりになかなかならない現代日本社会では、圧倒的多数の無関心層の存在が、現状肯定という政治的なパワーになってしまっています。そしてそれは、時の権力者にとっては最高の環境でしょう。
しかし木村さんは、「日本の民衆が民衆の自覚を持つのに最高の教育的な時期だと思う」と、希望を持ち続けます。たたかいは、今始まっているのです、と。
最後に、木村さんが最も尊敬する牧師、キング牧師こと、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.)の言葉を。

闇は、闇で追い払うことはできない。
光だけがそれを可能にする。
憎しみは憎しみで追い払うことはできない。
愛だけがそれを可能にする。
Darkness cannot drive out darkness;
only light can do that.
Hate cannot drive out hate;
only love can do that.
愛とは、敵を友人に変えることができる
唯一の力である。
Love is the only force capable of transforming an enemy into a friend.
深水登志子が書きました
リターン
3,000円

応援3,000円コース
感謝のメールをお送りします。
- 申込数
- 72
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年9月
3,000円

手作り栞3,000円コース(数量限定)
朝鮮学校の子ども達が心を込めて作った栞をお送りします。
- 申込数
- 25
- 在庫数
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手作り栞3,000円コース(数量限定)
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山口朝鮮初中級学校を支援! ーつないでいこう未来へー
- 総計
- 58人

神戸朝鮮高級学校の生徒たちにより良い教育環境を!継続支援にご協力を
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- 91人

「なまけものの通りみち」となる生物回廊農園を共に作り育てましょう!
- 総計
- 58人

【月500円〜】尼崎朝鮮初中級学校を支援!子供達の明るい未来の為に
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- 42人

月500円から子どもたちの学び場を守り、笑顔ある未来へつなぐ!
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- 20人

【月500円〜】西神戸朝鮮初級学校を支援!子供達の明るい未来の為に
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- 61人

311人募集中!|311子ども甲状腺がん裁判応援サポーター
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- 275人

東北大震災から繋ぐ!愛と光、癒しのイベント。沖縄初開催のご支援を!
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- 10,000円
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- 終了日
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大隅で障がいをもった子どもたちが安心して過ごせる場所づくり
- 支援総額
- 331,000円
- 支援者
- 25人
- 終了日
- 5/30

花嫁の幸せをはこぶ青い車。旅フォトウェディングを叶えたい。
- 支援総額
- 1,057,500円
- 支援者
- 74人
- 終了日
- 10/30

陽の目を浴びる機会が少ない中学生の女子サッカーを、活性化させたい!
- 支援総額
- 201,000円
- 支援者
- 18人
- 終了日
- 10/30
親子の心がほっこりする自作曲のCDを作りたい!
- 支援総額
- 373,000円
- 支援者
- 19人
- 終了日
- 12/1

「こどもホスピス」普及のためのイベントを元タカラジェンヌが実施
- 支援総額
- 10,000円
- 支援者
- 1人
- 終了日
- 6/30
















