「がん家族」の短編映画を作りたい!全てのがん家族に届け!

支援総額

740,000

目標金額 400,000円

支援者
57人
募集終了日
2021年2月14日

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2021年07月01日 17:24

「共に過ごした最後の2か月半」~元がん家族のインタビュー~

 

<はじめに>

元がん家族のインタビュー第2記事目です。
元がん家族の方々に、体験されたことや、看病をしていた時の思いなどをコピーライター仲山さとこがインタビューをさせていただいてきました。

人生もそれぞれあるように、がん家族のあり様も十人十色。

「元がん家族のインタビュー」記事を読んでくださる方々の、何かヒントになれば幸いです。

 

==================================

共に過ごした最後の2か月半

~毒母だった母を看取るまで~

 

 

<インタビューを受けてくださった方のプロフィール>

名前/タチバナさん
職業/漫画家
「幼いころ、母には育児放棄のような育てられ方をされました」と話すタチバナさんが、看病と看取りをした経緯とは?
すい臓がんでこの世を去った母の最期の2か月を振り返っていただきました。
 

(写真はイメージです)

83歳の母が末期のすい臓がんに

 

 


インタビュー始まり

 

――ご家族構成を教えてください。

タチバナ:夫と猫2匹と暮らしています。娘は独立して近隣の県に住んでいます。私の自宅から実家までは車で10分ほどです。

 

 

――漫画家のスキルを活かし、医療系の仕事もされているそうですね。

タチバナ:週に1回、訪問診療をしている地元の病院で、非常勤の地域支援員として勤務しています。訪問先の患者さんの話を聞いてマンガにすることもあるんですよ。

 

 

――お母さんの病気に気付いたのは何がきっかけだったのでしょうか。

タチバナ:20185月に、デイサービスのヘルパーさんが母の黄疸に気付いてくださったんです。検査をしたところ末期のすい臓がんで、転移も見られることがわかりました。私は医療のマンガを描いた経験があり、医療従事者の知り合いも多いので、多少の知識を持ち合わせていました。母は糖尿病による入院歴があり、すい臓がんになりやすいこと、がんになった場合どういう流れをとったらいいか、ある程度はわかっていたつもりでした。

 

 

――告知はされましたか。

タチバナ:娘としては告知をしてもらってもいいと思ったのですが、病院は「糖尿病の具合が良くないから、胆汁を流す処置をして自宅で療養しましょう」という言い方をされました。軽い認知症も出ていたので説明を理解してもらえるだろうかという背景もあったのだと思います。

 

 

――自宅療養を選ばれたのですね。

タチバナ:自宅療養は母の意向です。83歳という年齢のこともあり、手術はせず、緩和処置をする方向で、訪問診療を紹介してもらうなどの準備を始めました。

 

 

――お母さんのご希望通り、自宅で最期を迎えられたのですか。

タチバナ:母は兄と2人暮らしでしたが、兄には発達障がいがあり、11回のインシュリン注射を誤って2回してしまって低血糖になったこともありました。はじめの2か月は自宅で過ごし、最後の半月はたまたま空きが出た有料老人ホームで最期を看取りました。

 

 

  

 

 

毒母の世話は書類手続きだけで十分?

 

――生活に影響はありましたか。

タチバナ:日常の生活、仕事に加えて、本来はやらなくてよかった「看病」が新たにプラスされるのですから、負担もプレッシャーも大きかったです。私の母の闘病期間は2か月半でしたが、年単位で看病されているご家族の苦労はいかばかりかと思います。

 

 

――仕事と看病の両立についてはどうでしたか。

タチバナ:職業柄、時間の融通が比較的つけやすい反面、筆が乗っているときにも手を止めて看病モードに切り替えなくてはなりませんでした。仕事の内容や勤務状況によって苦労もそれぞれだと思います。

 

 

――ご家族からのサポートはいかがでしたか。

タチバナ:母が孫を認識できる時期に、娘が何度か見舞いに行ってくれたのは良かったなと思っています。夫は、母の病気が進行の早いすい臓がんであり、腹水がたまっていることからも先が長くないと理解しており、「家でやれることはやるからね」と言ってくれました。家事も大いに助かりましたが、愚痴を聞いてもらうなど精神的に支えてくれる人がそばにいるのはありがたいなと思いました。

 

 

 

 

 

――お母さんとの親子関係について伺ってよろしいでしょうか。

タチバナ:幼少時、母には育児放棄のような育て方をされました。いわゆる毒母ですね。がんが発覚した段階では、書類手続きなどの必要最低限のことしかしないつもりでした。兄と母は共依存のような状態で、メンタルがガタガタだった兄は、自分の意志で母の最期にも立ち会いませんでした。

 

 

――お母さんが亡くなった後、お兄さんとは?

タチバナ:気まずい状態が続いていましたが、2年以上経ってようやく連絡を取るようになり、納骨の段取りがついたところです。母もあの世でホッとしているのではないかと思います。

 

 

 


(短編映画「がん家族。」イメージイラスト)
(提供:たちばないさぎ先生)

 

 

母を看取る決意をしたきっかけ

 

――書類手続きだけではなく、お母さんの看病を最後までやり遂げたのはなぜですか。

タチバナ:あるとき、「今日はもう帰るね」と言った私に向かって、母が「いろいろ悪いね」と言ったんです。めったに謝ることのない母がですよ!

 

 

――どう答えたんですか。

タチバナ:私としては「お母さんは娘の面倒を見てくれたからね」という程度の気持ちでした。というのは、娘が保育園児だった頃、ちょっと熱が出て保育園に行けないときや、私が仕事で忙しいときなど、母に預けていたんです。私の母親としては問題アリでしたが、娘には良いおばあちゃんでした。私がしてほしかったのにしてくれなかったこと、例えば娘を公園に連れて行ったりしてくれました。

 

 

――それからどうなったのですか。

タチバナ:私は「お母さん、娘の面倒を見てくれたからね」と普通に答え、その続きは心の中で(お母さん、病気なんだもん。仕方ないから看病するよ)とつぶやいていました。ところが、続きのセリフが心に浮かぶかどうかというときに母が言ったのです。「だってそんなの、あたりまえじゃない」と。

 

 

――それを聞いて、どんな気持ちでしたか。

タチバナ:目から涙が飛び出るくらい泣きました。母は、あたりまえのように孫の面倒を見てくれた。何気ない会話で気持ちを伝え合えた。過去の恨みとまではいわないけれど、母との間にあったわだかまりが一気に溶けてなくなったんです。「よし、最期までちゃんと見てあげよう」と決めました。

 

 

 

 

 


「くるリーナ」ブラシで褒められた!

 

――看病中のエピソードを教えてください。

タチバナ:母の認知症は軽度なもので、薬を飲むほどではありませんでした。ただ、「まだらぼけ」がときどき出るようで、朝6時に電話をしてきて「今日、デイサービスの日だったのに、行かなかった」と言うんです。夕方の6時と勘違いしていたんですね。今となっては笑い話です。

 

 

――口腔ケアをがんばったそうですね。

タチバナ:母はかなり前から総入れ歯で、歯磨きをする習慣がありませんでした。でも、歯がなくても口腔ケアは大事ですから、毎日、清拭、口腔ケア、インシュリン注射をしに通いました。

 

 

――歯磨きを嫌がったりされませんでしたか。

タチバナ:母に「口を開けて」と言うと、決まって「いいよ、いいよ、やらなくて」と言うんです。そこで、開口障害のための口腔ケア歯ブラシ「くるリーナ」というアイテムを使いました。これは、茅ヶ崎の女性歯科医が開発したもので、開発ストーリーのマンガは私が描いたんですよ。

 

 

――「くるリーナ」が役立ったのですね。

タチバナ:「歯磨きはボケ防止になるよ」と言うと、認知症を恐れていた母は素直になりました。さらに、「このブラシを作った人のこと、マンガに描いたんだよ」と続けると、すぐに口をあけてくれるんです。そして、マンガを描いたことを「すごいね、えらいね」と褒めてくれました。認知症だから前の会話を忘れて、くるリーナの話をするたびに褒めてくれるのがうれしくて。小さい頃も、こんなふうに褒められて育ちたかったな(笑)。

 

 

 

タチバナさんが当時のことを再現したマンガのネーム

(提供:たちばないさぎ先生)

 


「ありがとう」の言葉が自然に

 

――いよいよ迎えた最後の日について聞かせてください。

タチバナ:亡くなる前日の昼前くらいに、ホームのヘルパーさんから「血圧下がり続けているので、多分峠だと思います」と電話がありました。上の血圧が80いくつとのことだったので「すぐにすぐではないかな」と思いましたが、早めに夕飯をすませてホームに向かいました。続いて、夫、娘、兄も来て、22時くらいに夫と娘に「帰っていいよ」と言い、兄については先に話した通り、翌日の予定を理由に帰りました。兄にしてみたら、母も「用事を優先しなさい」と言うと思うから、とのことでした。

 

 

――お母さんと2人で過ごしたのですね。

タチバナ:簡易ベッドの上で読書をしていると、次第に死前喘鳴や下顎呼吸が現れ始め、終わりが近づいていることがわかりました。母の手を握りながらあれこれ話している間、母の息が止まったり、復活したりを繰り返しました。私の口から「ありがとう」という言葉が素直に出てきました。

 

 

――臨終を見届けたそうですね。

タチバナ:そうこうしているうちに息が止まったまま10分が経過し、母の眼球の黒い点が、ぼやーんとするのを見ました。まるで、半熟卵の黄身に楊枝を差すと、とろーっと拡がるような感じとでもいいましょうか。「瞳孔散大」という現象です。その様子を見届けられたことに、今でも満足しています。ヘルパーさん、自宅、診療所、葬儀社に連絡し、30分後には医師と看護師が来てくれました。

 

 

――死亡が確認されたのですね。

タチバナ:通常は医師が脈を取って瞳孔を確認し、死亡診断書を書くと思います。このときは、死亡診断書に私が瞳孔散大を確認した時間を書いてくれました。それがうれしかったですね。

 

 

 

(写真はイメージです)

 

 


医療従事者との相性

 

――がん家族と医療従事者との関わりについてどう思っていますか。

タチバナ:がん患者や家族は、医師、看護師、ケアマネージャー、ヘルパーなど、大勢と関わります。患者にとっては人生の最後、支える家族にとっては日々の生活、つまり人生が彼らによって大きく左右されるといっても過言ではありません。

 

 

――医療従事者とどう付き合うのがよいのでしょうか。

タチバナ:世の中にはいろんな人がいます。そして、相性のよしあしがあります。うちの場合、訪問看護師の対応に満足できず、不安や不信感を持たざるを得ませんでした。

 

 

――がん家族にとってつらいことですね。

タチバナ:不満を抱えたままの状態を続けるのではなく、相性の良い人を探し、思い切ってチェンジしてもらうことも大切だと思います。患者を見送った後も、家族の人生は続くのです。後悔にさいなまれながら生きていく状況を作ってはならないと思います。

 

 

 

 

 

 

――ホームではいかがでしたか。

タチバナ:それまでの2か月間の自宅療養中、不慣れな看病を毎日続けていたものですから、私は既にいっぱいいっぱいの状態でした。母がお世話になったことに感謝する一方で、「あれってどうなの?」と思うこともありました。母は味覚障害を起こしていて何を食べてもまずいと言っていましたが、それに対してあまり対応してもらえなかったことが悔やまれます。

 

 

――他にどのようなことがありましたか。

タチバナ:ホーム入所時は、説明文が読み上げられるんですね。「持ち物には名前を書く」といった入居者家族がやることから、「看取り」などホーム側がやることまで、一通り説明を受けます。

 

 

――説明が不十分だったのでしょうか。

タチバナ:不十分、あるいは説明がなかったこともありました。例えば、居室の入り口に鍵がかけられているのは拘束にあたるのではないか。看取りまでやってもらえる施設なのに、終末期の医療に関する説明が一切なかった。亡くなる前日に駆け付けたときも、点滴と酸素マスクが付いていました。「もう必要ないのに?」とよぎりましたが、言い出せませんでした。

 

 

――悔いが残ってしまいますね。

タチバナ:はい、いろいろ後悔しています。入居時の説明の段階で漏れや疑問に気付き、その場で「説明をお願いします」と言えばよかったのでしょう。でも、そのときは何が抜けているのか気付くことすらできませんでした。人生も看取りも1回きりですから、不明点に気付いたらすぐに尋ね、明らかにすることが大切だと思います。

 

 

――治療方針について悩まされることもありますよね。

タチバナ:特に高齢になるほど医師を崇め、何でも言うことを聞く傾向が強いと思います。勧められるがまま抗がん剤を使って弱ってしまい、家族が「無理をしているんじゃないの?抗がん剤より、自分の生き方を大切にしようよ」と言葉をかけても、「先生がおっしゃることにはさからえない」と我慢してしまうといったケースです。少なくとも私は、自分や夫が将来そうなったときのために治療内容などをあらかじめ調べ、決めておこうと思っています。

 

 

 

 

 


マンガを通じてACPを広げたい

 

――看病中は、どのような心境でしたか。

タチバナ:「自分だけはしっかりしていなくては」「弱気になってはいけない」という張り詰めた気持ちで過ごしていました。

 

 

――そんなときに、ある人から声をかけられたとか。

タチバナ:ある日、私が非常勤で勤めている病院のベテラン看護師さんが声をかけてくれました。「お母さん、どう?」というひとことです。彼女は患者さんからよく相談を受けている人です。私を見て、何か思うところがあったのでしょうね。

 

 

――それを聞いて、どう思いましたか。

タチバナ:「私のこと、気にかけてくれる人がいる」とうれしくなり、こわばっていた心が和らぎました。ひとりじゃないんだと思えた瞬間でした。今、かつての私と同じような思いをしている人にも声をかけてあげたいです。どうか無理をせず、楽になってほしい気持ちでいっぱいです。

 

 

――地域支援員の仕事について教えてください。

タチバナ:勤務先の医院が、厚労省が推奨する「アドバンス・ケア・プランニング(略称ACP)」に取り組んでいます。私も患者さんと話すときはACPを意識しています。

 

 

――ACPとは、どのようなものでしょうか。

タチバナ:患者ご本人の意志や希望をベースに、家族、医療や介護の従事者と話し合い、医療やケアの方針を確認することです。「人生会議」という愛称でも知られています。

 

 

――お母さんのACPについてはいかがでしたか。

タチバナ:不十分でした。口頭で「行きたいところはない?」「食べたいものはない?」と尋ねましたが、母はきまって「いいよ、いいよ」と遠慮するんですね。このときにしっかり聞き取って書き留めておけばよかったです。

 

 

――それで「もしもしーと」を作ったのですね。

タチバナ:そうです。患者ご本人がしてほしいこと、してほしくないことを家族や周囲と共有し、治療にも取り入れてもらうことを目的にした確認用のシートです。例えば「痛み止め(医療用麻薬)を使う治療」についてなら、「してほしい」「してほしくない」「話し合って決めたい」のいずれかに○をつけます。

 

 

 

(短編映画「がん家族。」イメージイラスト下書き)
(提供:たちばないさぎ先生)

 

 

 

――「がん家族」のドキュメンタリー映画のプロジェクトがスタートしました。

タチバナ:映画を観て元気づけられる人がいたらうれしいです。私も、イラスト関連でお手伝いをすることになるかもしれません。今、出版業界も大変なのでできるかどうかわかりませんが、可能であれば映画製作の様子をマンガで描けたらと思います。

 

 

――ありがとうございました。

 

 

 

https://ocmedical.jp/interview/

参考:『マンガでわかる 後悔しない!我が家での看取り』

 

 

記事:仲山さとこ
HP:https://nakayama-satoko.com/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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