
支援総額
目標金額 2,000,000円
- 支援者
- 274人
- 募集終了日
- 2022年6月13日
論告求刑と最終弁論 — そして、判決へ《後編》
《前編》からつづく
■ 弁護団の反撃「最終弁論」— “ねつ造”認定を求める
5月22日。再開された午後の法廷の最後は、約2時間半に及んだ弁護団の最終弁論でした。
笹森、角替、間、伊豆田、加藤、白山、田中、笹森、小川と8人の弁護士がリレー形式で順に繋いでいきました。
検察側の主張や証拠が、いかに袴田さんを犯人とするには矛盾があるかということを、くまなく訴える内容でした。

▲公判終了後の弁護団記者会見(2024年5月22日/静岡市内)
中でも、特に検察が噛み付いていたのは、笹森学弁護士が終盤に行なった「ねつ造否定論への反論」です。
検察がねつ造を行ったということを、具体的に、かつ真正面から訴えました。

▲袴田事件弁護団の笹森学弁護士
それに対して検察は、冒頭から異議を申立てました。
問題視されたのは、まず、過去の他の冤罪事件の詳細を述べた箇所でした。さらに、静岡県でかつて冤罪が横行していた元凶とも言われる静岡県警の紅林麻雄警部補について、「拷問王」などと描写して述べた箇所でした。

▲静岡県警本部
検察の異議を受け、裁判官が出した見解は…、検察側の指摘通り一部の主張を「不適当」として、笹森弁護士にはその箇所を削除するよう求めました。
それでも、ねつ造を糾弾する弁護団の勢いがそがれることはありませんでした。
「虚偽自白をさせることは、自白をねつ造することである。…そして、それが嵩じれば、物的証拠もねつ造する。」
「静岡県警本部は、見込み捜査に基づく虚偽自白の強要と、それを補強する証拠のねつ造という捜査手法を受け継いでいた。」
(笹森弁護士の弁論より)

▲記者会見に臨む袴田秀子さん
冒頭で弁論の一部削除を求めた裁判官でしたが、弁護団の言葉には真剣にじっと耳を傾けていました。その表情は柔らかく、弁護団の憤りには一定の理解を示しているようにも見えました。
そして笹森弁護士の弁論は、こう締めくくられました。
「静岡地裁の責任は、無実の巖さんに単なる無罪判決を言い渡すことではない。…『5点の衣類』と自白その他の証拠が、捜査機関のねつ造であったと認定し、証拠から排除することを躊躇してはならない。」
■ 弁護団の反撃「最終弁論」— 死刑冤罪の不条理
弁論の最後は「巖さんの「無罪」とその先に…」として、主任を務める小川秀世弁護士が行いました。

▲袴田事件弁護団の小川秀世弁護士
「…世の中に、これほど不条理なことがあるでしょうか。想像してください。自分とまったく無関係の事件で、捜査機関に事実や証拠を隠され、証拠をねつ造されてしまい、そのために死刑判決を受けることになったことを。でも、それが巖さんの身に実際起こったことなのです。」
(小川弁護士の弁論より)

▲買い物をする巖さん(2024年5月25日/浜松市内)
小川弁護士の言葉は、感情に乗って次第に大きく強くなり法廷内に響きました。
「巖さんは、いまでも精神世界では、東京拘置所の狭い独房にいることと何も変ってないのです。人とのつながりによって幸せを感じることはありません。残念ながら、ひで子さんと手を取り合って無罪になったことを喜ぶこともできないのです。」
釈放から10年が経つ巖さんは、毎日街に出ても、他人に関心を示すことはありません。


「検察官が、真実に目をつぶり、与えられた仕事だからと言い訳しながら有罪立証をしている限り、検察に対する批判や批難は、ますます大きくなるばかりです。直ちに巖さんに謝罪して下さい。」
(小川弁護士の弁論より)
弁論が終わると同時に、傍聴席からは大きな拍手が湧き起こりました。
■ 結審の最後の瞬間 — そして判決はいつ?
予定よりも15分以上遅れ、午後5時過ぎ。裁判長に促され、最後に袴田秀子さんが証言台に進み出ました。
用意していた原稿を目の前に両手で広げると、誰よりも大きく、はっきりとした声で語り始めました。

「ひとたび狙われて、投獄されれば、肉体深く食い込む虐待、あの虚構の覆われた部屋、あの果てしなく、底知れぬ眩暈、最早正義はない、…今朝方、母さんの夢を見ました。元気でした、夢のように元気でおられたら嬉しいですが、お母さん、遠からず真実を立証して帰りますからね。」
(秀子さんの陳述より)

▲獄中から届いた袴田さんの手紙

▲袴田さんの母・ともさん
冒頭は、袴田さんが獄中から、母・ともさんに宛てた手紙の引用でした。そして47年7ヶ月の間、投獄されていた当時の巖さんの姿をこう回想します。
「獄中にいる時は、辛いとか哀しいとか一切口にしませんでした。」
徐々に気持ちが高ぶり、込み上げる感情を必死に抑えようとして震える声。それでも、秀子さんらしく背筋を伸ばし、まっすぐに裁判長を見据え、堂々と語りかけました。
そして、こう締めくくりました。

「58年闘って参りました。私も91才でございます、巖は88才でございます。余命幾ばくもない人生かと思いますが、弟巖を人間らしく過ごさせてくださいますよう、お願いを致します!」
全ての弁論が終わると、3人の裁判官は法壇の扉の奥へと入っていきました。
数分後、法廷に戻った裁判長は、こう告げました。
「今から、判決の宣告期日をお伝えしたいと思います。期日は、9月26日午後2時から5時。場所は、201号法廷です。」


▲くつろぐ巖さんと秀子さん(2024年5月25日/浜松市の自宅にて)
こうして袴田さんの再審公判は、全ての審理を終えたのです。
4ヶ月後の9月26日は、私も静岡地裁で判決を見届けたいと思います。
映画「拳と祈り」を応援してくださっている皆さまには、ぜひ58年越しの“無罪”判決の行方を、共に見守って頂きたいと思います。
引き続きどうぞよろしくお願い致します。
ドキュメンタリー映画「拳と祈り」監督
笠井千晶
リターン
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