完全復元への道のり③～下地の試行錯誤～

『東大寺 執金剛神立像』完全復元プロジェクトへの応援、誠にありがとうございます。

 

　今日も、彩色の下地のご報告です。

これまで、白土や鉛白による下地を作ってきました。ところが、ここにいざ金箔を貼ろうとするとなかなかうまくいきません。金箔を貼る際に塗る膠の水分で、粘土ごと緩んでしまうのです。

　そこで、漆の下地を作ることにしました。漆に松煙を混ぜた「掃墨漆（はいずみうるし）」に少量の地粉（珪藻土）を加え、像全体にすり込みました。

 

 

 

 

 

　本物の御像にも、黒っぽい謎の痕跡があるのですが、これまでの調査ではそれが何なのかは全く分かっていませんでした。今回、掃墨漆をすり込んだことで、格段に塗りやすく、また表面を頑丈にすることができました。ここに、再び白い下地を作っていきます。

 

 

 

 

　これまで丁寧に作ってきた真っ白な下地を真っ黒にするのは勇気がいりましたが、格段に塗りやすい、良い下地を作ることができました。試行錯誤を繰り返しながらも、一歩一歩先人の技に近づいていっています。

引き続き、ご支援よろしくお願いいたします！