鳥取大学医学部 難波範行先生からのメッセージ

今日は、鳥取大学医学部周産期・小児医学分野教授 難波範行先生からいただきましたメッセージをご紹介いたします。

　私が小児科医となり、研修を開始したころは低ホスファターゼ症は一般的な教科書には載っていない疾患でした。小児内分泌学、骨代謝学を志すようになり、はじめてこの疾患の存在を知りましたが、実際に患者さんを診たことはありませんでした。

　転機となったのは、留学したセントルイスのワシントン大学で低ホスファターゼ症のパイオニアにお一人、Michael P Whyte 先生と共同研究をしている研究室に所属したことです。いろいろなお話を伺い、低ホスファターゼ症が一気に身近に感じられるようになりました。

　当時、治療は対症療法のみでしたが、2000年代に入って研究が急速に進み、2015年には酵素補充療法が可能になりました。そして生命予後が劇的に改善したことによって、低ホスファターゼ症の患者さんの抱える様々な問題がクローズアップされるようになってきました。その中でも歯科的な問題に関する研究は緒に就いたばかりなので、本研究を推進する意義は大きいと考えます。
　本研究により、低ホスファターゼ症のこどもたちの乳歯脱落を防ぐ治療が開発されることを心より願っています。そして、治療が開発された暁には、低ホスファターゼ症のこどもたちにとって福音になると信じています。
　どうかご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。