Vol.38　雪でもスリックタイヤで走る?

　　ニュルブルクリンク24時間レースのインカー映像を探していたら、僕がレクサスで挑んだ年のカットを発見しました。トヨタガズーレーシングのCMです。この時はニュル史に残る天候不純でしたね。

　5月のニュルブルクリンクは寒暖の波が激しく、Tシャツ&短パンでも汗ばむ日があるかと思えば、翌日はダウンジャケットが手放せなくなる。気温がコロコロと変わるのです。

　そればかりか、24時間のレース中に天候が変わるのも珍しいことではありません。丘のあっちは晴天でドライ路面なのに、こっちは豪雨ということもあります。ですから、豪雨の中をスリックタイヤで走行するという過酷なことにも耐性を持たねばならない。

　ただ、この年は激しかった。5速全開のコーナーはドライ路面なのに、その先が雪だったのです。川端康成だったら「ニュルの高速コーナーを抜けると雪国だった」と書き出すでしょうね。

　　心臓がキュンとなりましたよ。多くのマシンがノーコントロールでクラッシュ多発です。幸にして僕は、なんとかコントロールして切り抜けたのですが、その先の上りで”コース上スタック”したのです。タイヤが空転して動かない。ほどなくして赤旗中断になりましたが、レース中にコース上でスタックしたのは初めてでしたね。スキー場の往復でも経験したことがないのに、ですよ。その映像がこれです。これがニュルブルクリンクなんですね。

　僕はたびたび、レース中の降雨でもスリックタイヤで走行を続けることがありますが、スリックタイヤで雪道レースをした経験からすれば、特に心配することではありません。タイヤのグリップの範囲で走ればいいのですから。

　とはいうものの、雪のスリック。今年は避けたいものです（笑）