【ガラ紡のはなし】＃３　ガラ紡の生みの親

本日は、このお方なくして「ガラ紡」は語れない。ガラ紡の発明者『臥雲辰致』さんについてです。


臥雲辰致（がうん・ときむね、たっち）1842－1900　　
名前の読み方については諸説ありますが、正式には『ときむね』と読むのが正しいが、呼びやすい『たっち』の方で呼ばれるようになった。というのが一番有力な説かなと思っています。

さてさて、
1842年、辰致は、信濃国安曇郡小田多井新田村（現安曇野市堀金三田）に生まれました。（幼名は横山栄弥）

20歳で出家し、後に末寺の臥雲山孤峰院の住持になるんですが、明治4年、明治政府の廃仏毀釈により廃寺になってしまったため還俗し寺の名前を借りて自ら臥雲姓を名乗るようになりました。

その後、幼い頃から賢く発明が得意だったタッチは、外国から多量の綿製品が輸入されるのを見て『外来品に負けない糸を作ろう』と、明治6（1873）年、臥雲紡機(後にガラ紡と呼ばれる)の第1号機を完成させたのです。

ガラ紡機の発想の大元は、火吹き竹の筒にワタを詰め込み、引っぱり出 して遊んでいるうち、細く長く糸を引き、偶然筒を滑り落とした拍子に、クルクルと回って自然に撚（よ）りがかかったことに気づいた事がきっかけだとか。
 

ガラ紡機は次第に人々の注目を集めていき、明治10年に開催された「第1回内国勧業博覧会」にも出品され、「本会第１の好発明」と激賞され、最高の栄誉である鳳紋褒賞牌（ほうもんほうしょうはい）を授与されます。

こうしてガラ紡は有名になり、綿栽培が盛んだった愛知県の三河地方（豊田・岡崎）を中心に全国各地に普及していきました。

しかし、困った事に当時の日本には特許制度がなかったため、ガラ紡績機を模倣する人が続出。発明にかなりの資金を投じていた辰致は、毎日の食事に事欠くほど苦しい生活を強いられます。

しかしそんな中でも辰致は、
「自分はこの発明とともに死ぬ決心だ。他のことなどにかまっておれぬ」
といってガラ紡の改善工夫を止めなかったのだそう。

あっぱれ辰致！


やがて、明治18年に専売特許条例ができ、辰致も改良されたガラ紡績機の特許を得ました。しかし、すでにガラ紡績機は全国に出回っていたため、あまり利益を得ることは出来ませんでした。

その後も発明への情熱を絶やさなかった彼は、晩年(享年59歳)には七桁計算機や土地測量機などの発明を続けたそう。

あきらめずに発明を続けた強い精神。見習いたいものです。そしてこのすばらしい発明に感謝の言葉を贈りたい・・・

ありがとうございます。
ガラ紡、守って行きますからね！！

（写真は2016年、臥雲辰致のお孫さんにご案内頂き生家に社長とお邪魔した際の物。念願のお墓参りも果たせました◎）