小鉄は慎重派

　小鉄は、初めて見る食べ物にそっぽを向く。

（慣れている食べ物でもときどきぷいっと顔を背けるが……）

 

　これは嫌いなのか、お腹が空いていないのか、と油断してはいけない。

　指で掬って、無理矢理口の中に差し込むと、ペロッと舐める。

　もう１回近づけて、それでも顔を背けたらアウト、背けなかったらセーフである。

 

　また、甘やかし過ぎたせいか、よっぽど好きなものでない限り、器のまま食べない。

　スプーンで掬ってやるか、手のひらに乗せてやるかしないと食べない。

 

　元気なときは、小鉄の病名は、

わがまま

だった。

　ポチ（♂）は王子様で、小鉄（♂）はお姫様なのである。

 

　現在、通院して疲れている、かつ、抗がん剤治療中なため、いつにも増して食べさせるのが困難だ。

 

　しかし！　本日小鉄は非常によく食べた！

　食べさせたのは、知多牛である。

　閉店間際のセールで小鉄のために買ったった！

　昨日あまり食べなかったのが心配で心配で。

 

　贅沢にもいつもの鶏ささみではなく、和牛と緑黄色野菜を使い、犬用チーズと一緒にことこと煮込んだら、いっぱい食べてくれた。

　肉は正義だ！

　お腹いっぱいで満足げな小鉄。