北丸雄二さんからの応援メッセージ＜34/90＞

お寄せいただいているクラウドファンディングへの応援メッセージを、ご紹介しています。

34番目のメッセージは、ジャーナリストの北丸雄二さんです。『フロント・ランナー』『ノーマル・ハート』『LGBTヒストリーブック』など、小説や戯曲などの翻訳も多数手がけられています。メッセージ、ありがとうございます！

過去ずっと長きにわたって、私たちは「語られる」存在であり、「語る」存在としての「主語」の位置を与えられてきませんでした。「私たち」とは、女性であり、被差別部落民であり、アイヌであり、在日朝鮮/韓国人であり、障害者であり、ハンセン病患者であり、あらゆる種類のマイノリティでした。「私たち」が語り始めると、権力は自ら語ってきた過去の記録を気づかれないように修正し、改竄し、廃棄し始めます。その修正と改竄と廃棄とを記憶することも私たちの歴史になります。だからこそ私たちは、私たち自身の語りを語り遺していかねばならないのだと思います。そうすることで私たちはみな、語ることを奪われた過去の（あるいは他の場所の現在の）「私たち」の代弁者になるのです。

（ジャーナリスト　北丸雄二）