高齢者とペットを包括的に支援💖姉妹猫の第二の猫生

新しいお名前はすずらんちゃん

 

なぜ人と動物を包括的に支援する必要があるのか。千代田区での実例をご報告させていただきます。

 

３年余り前のことです。千代田区社会福祉協議会から千代田保健所に持ち込まれ、保健所からちよだニャンとなる会に持ち込まれた相談に３者が連携協力して対応しました。当時９５歳のひとり暮らしの女性Ｓさんは、当時７歳の姉妹猫、黒茶キジ柄のモモちゃんとグレイ縞柄のミミちゃんと暮らしていましたが、「自分に何かあったら猫たちが処分されてしまう」「でも、猫たちをすぐ手放すのは悲しくて寂しくて…」と社協の職員に涙を流して訴えたのでした。

 

新しいお名前はさつきちゃん

 

それまでの事情です、Ｓさんは、知人が保護した母猫と生まれたばかりの４頭の姉妹を引き受け、同居する息子さんと一緒にお世話していました。しかし、息子さんが急逝。Ｓさんはひとり暮らしになってしまい、猫たちのお世話がだんだん難しくなってきました。しっかりした方ですが、何度か転倒して、身体のあちこちに痛みを抱え、思い通りの動きが難しくなっています。家事援助のヘルパーさんが定期的に通っていたのですが、猫のトイレは衛生を保てなくなっていました。

 

ご自宅を訪問してのペットシッター活動

 

私たちは、Ｓさんの福祉を考え、すぐに猫たちを引き取るべきではないと判断。お家を訪問して主にトイレ掃除のペットシッター活動と電話でのご様子うかがいを始めました。猫ちゃんたちとの暮らしを支援しつつ、信頼関係を築いていこうと考えたのでした。

 

一昨年の春、Sさんが転倒により大怪我。Sさんは猫ちゃんたちを少しずつ私たちに託すことを決意しました。母猫は親族が引き取ることになっていて、Sさんの猫ちゃんたちのホームドクターでもあった苅谷動物病院・三ツ目通り病院と連携協力して姉妹を２頭ずつ引き受け、譲渡を進めていったのです。

 

社会福祉協議会の職員と保健所の職員の立ち会いのもと、「猫の所有権放棄及び譲渡依頼書」にSさんが署名

 

最後の２頭、モモちゃんとミミちゃんの姉妹は、「ちよだニャンとなる会・神田神保町シェルター」で半年余り過ごして９歳になっていましたが、昨夏、素敵な出会いが会ったのです。姉妹一緒に迎えてくださったのは、人間の医師をされている女性で、２頭が外に出てしまわないよう、リフォームも実施してくださいました。

 

新しいお名前は、モモちゃんが「さつきちゃん」。初めて姉妹に会ったのが５月ということから名付けたそうです。ミミちゃんは「すずらん」ちゃんになりました。すずらんの花言葉には「再び幸せが訪れる」という意味があるとのこと。それを聞いて、関係者一同うっと胸を突かれ、涙がこぼれました。

 

今さつきちゃんとすずらんちゃんは、幸せに暮らしています