細胞が癌になるどうなるか？〜がん化した細胞で起きる変化〜

 

新年度がスタートして間もないですが、本学でも新型コロナウイルス感染症（COVID-19）への対応が継続しています。感染拡大が未だ続く中で、今は見えない行先に不安を感じている人も多いと思います。罹患された皆さま、影響を受けられている皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

 

今、世界にとって非常に大変な時期ですが、そんな中でも、皆様の多大なるご支援と応援に心より感謝申し上げます。現在、95名もの方々から、3,230,000円ものご寄附をいただいており、もう直ぐ100人のご支援者様に届こうとしております。日本国内外問わず、これだけの多額のご支援をいただけていること、本当にありがとうございます。皆様におかれましてもどうかご自愛いただきつつ、どうか今後も応援いただけましたらとても嬉しく思います。

 

さて、本日は、『細胞が癌になると どうなるか？〜癌化した細胞で 起きる変化とは〜』と言うテーマで新着情報を更新させていただきたいと思います。

 

がん細胞は、正常細胞から遺伝子に変化が起きて、発生します。その為、がん化した細胞では色々な変化が起きています。

 

変化その１：増殖促進

がん細胞では、増殖が促進しています。正常の細胞は、増える時と増えてはいけない時をわきまえて、必要な分だけ細胞が増殖しますが、がん細胞は周りの状況に関わらずむやみやたらに増殖します（異常増殖）。

上の図で、正常細胞は一様にフラットな細胞の状態を維持しますが、がん細胞は闇雲に増えるので無秩序な塊になります。

 

 

変化その２：分化阻害

正常な細胞は、それぞれの役割に応じて適切に分化し、最終的な機能を持った細胞に変化します。例えば、幹細胞（ES細胞やiPS細胞）自身は特定の機能を持っていませんが、状況に応じて求められる細胞（例えば、神経細胞、筋肉細胞、血液細胞など）に変化（分化）して機能を果たします。ところが、がん細胞は分化せずに増殖を繰り返します。その結果、特定の機能を持っていない細胞が溢れることになります。これを放置すると、各臓器が正常に機能できなくなり、人は死に至ります。

 

 

上の図は正常な骨髄と白血病になった骨髄の細胞を見たものですが、正常骨髄細胞には顆粒球（リング状の構造（染色体）が見える細胞）、赤芽球、リンパ球、単球など多くの系列の細胞が認められますが、白血病を発症すると、未分化な芽球が大多数になります。

 

 

変化その３：がん特有の代謝

がん細胞では、異常な増殖を支えるために、代謝が変化しています。

 

細胞は栄養（３大栄養素；ブドウ糖（グルコース）、アミノ酸、脂質）を取り込み、エネルギーや細胞の構成成分に変えて行きます。これを代謝と言います。正常細胞では、厳密に制御された代謝によって、効率的なエネルギー変換を行なっていきます。

 

しかし、がん細胞は異常な増殖をするため特有の代謝を行いますが、無駄が多いため、大量の栄養素を必要とします。例えば、がん細胞は糖（グルコース）を好むと言われるのもそのせいです。実際に、がん細胞で糖の取り込みが促進されているのを利用して、がんがどこにあるかを突き止めることができます。PET（ペット）と呼ばれる検査がこの原理を利用しています。

▲PET診断の例：右側黒いドットがグルコースを強く取り込むがん細胞

 

がん代謝で共通しているのは活性酸素種（ROS）を大量に放出することです。ROSが多すぎると細胞の増殖は阻害されてしまうので、がん細胞はROSを適度の量になるような調節機構を発達させ、増殖促進、突然変異率上昇に役立てています。

 

 

我々は、クルクミンがこのがん細胞の高いROSレベルを逆用することで、特異的な抗がん作用を発揮することを見つけました。PGV-1はさらにこの機能を60倍も高めています。皆様、PGV-1を臨床の場に持っていくために力をお貸しください。