朝ドラ『スカーレット』で取り上げられる白血病と「PGV-1」研究

現在、NHK連続テレビ小説『スカーレット』が放映されていますが、ご覧になられている方はご存知の通り、主人公の息子である、武志くん（伊藤 健太郎さん）が病気になってしまいました。

 

病名は「慢性骨髄性白血病」。慢性骨髄性白血病（CML）は血液を作る大本の細胞（造血幹細胞）に異常が起こって癌となり、異常に増殖することで発症します。

 

最初はゆっくりと進行します（慢性期）が、治療を行わなかったり、治療の効果が十分でなかったりすると、3〜5年で移行期を経て急性転化期に進行し、死に至る病気（白血病）です。

この病気では、フィラデルフィア（Ph）染色体という異常な染色体が見つかっていて、この上にあるBCR-ABL（ビー・シー・アール・エイブル）と呼ばれる癌遺伝子がこの病気の発症原因とされています。

 

BCR-ABL癌遺伝子から作られるBCR-ABLタンパク質が、「細胞を増殖させる指令を出し続ける」ために白血病細胞が増え続けるという異常が発生します。

 

今では、このBCR-ABLタンパク質を特異的に阻害する、グリベックなどの分子標的薬が開発され、病気の進行を抑えやすくなりました。治療を続ける限り効果が見られ、8年生存率が90％を越える優れた治療効果があります。

 

しかし、急性転化期に進行してしまうと十分な効果を得ることが難しくなり、造血幹細胞移植等を行う必要があります。また、近年の研究結果では、グリベックの場合、治療している間は大丈夫ですが、治療をやめると60％以上で再発が起こることが報告されています。

 

私たちの研究では、「クルクミンの抗がん作用」を最初に試したのが、実は、この慢性骨髄性白血病（CML）の癌細胞でした（Sci Rep 2018, 8:2039）。結果、よく効きいたことが分かります。

 

 

驚いたことに、この実験では、お薬の投与をやめても癌細胞は復活しませんでした。

 

また、クルクミンから発想して出来た「PGV-1」も同じ作用を持っていることを確認しました。もしかしたら将来的には、「PGV-1」は「再発も抑える飲む抗がん剤」として完成できるかもしれません。かける期待は大きく、これからも将来の医療の発展のために邁進していきたいと思います。

 

治療薬の開発にどうか引き続きご支援をお願いします。

 

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