残り０日、最終日｜鉄とブラックホールのつながり、鋳造体験にて

 

国立天文台水沢VLBI観測所の本間です。

 

　本日いよいよ、クラウドファンディングの最終日となりました。ここまで成功裏に進めてくることができましたこと、ご支援いただいた皆様に改めて感謝申し上げます！

 

　本日お届けるするカウントダウンの最後の数字は“０”。写真の数字は、地元の南部鉄器工房・株式会社 及富様のご協力により、鉄を使ってブラックホールのリングを模して描いたものです。及富様には本クラウドファンディングの返礼品作成でお世話になっており、その縁で工場にて鋳造体験をさせていただく大変貴重な機会をいただきました。溶鉱炉から流れ出る鉄は目がくらむほどの輝きで、太陽を思い起こさせる幻想的な姿でした。それと同時に科学者として、量子力学の誕生のきっかけとなった“溶鉱炉からの黒体放射”を生で経験することができ、大変感激しました。

 

　元来、鉄とブラックホールは宇宙において極めて深いつながりを持っています。重い星の中で核融合が進んだときに最後にできるのが鉄のコアで、鉄ができた段階で星の寿命は尽きます。そのような燃え尽きた星のうち、比較的軽いものは超新星爆発を起こして周囲に鉄をまき散らし、一方、重すぎて自重を支えられなくなったものはブラックホールになります。ですので、私が鋳造体験で使った鉄も含めて、地球上のすべての鉄は「ブラックホールになりきれなかった星の燃え残り」なのです。

 

　そのような鉄を使った南部鉄器が水沢の特産品であり、同時にブラックホールの研究が水沢の国立天文台で行われていることにも、なんとも不思議な宇宙の縁を感じます。私達のクラウドファンディングも、このような様々なご縁に支えられて最終日を迎えることになりました。残りの時間はわずかとなりましたが、観測所員一同でゴールを目指して最後まで頑張りますので、完了の瞬間まで引き続きよろしくお願いします。