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2021年11月26日 09:29

認知症の人の声を聴いていますか

 ~認知症予防財団報「新時代」11月1日号より

 

 本人の思い、望むこと くみ取って

 

        東京慈恵会医科大学精神医学講座 教授 繁田雅弘

 

 私が精神科診療の現場に出てから三十数年がたった。認知症(当時は痴呆症)の診療も現場に出たばかりの1980年代から行ってきた。大学病院、精神科病院、老人ホーム、公立病院などの現場で認知症医療を経験した。興味深いことに、そうした様々の現場で患者さんのご家族、あるいは医療福祉の専門職から受けた質問の中には、時間が経ってもほとんど変わらないものがある。

 

 しかし質問に対する私の答えはずいぶんと変わってきた。

 

 例えば次のような質問である。

 

 「もの忘れがあるので、病院に連れて行きたいが、病識がなく、病院に行こうとせず、家族も困っています。どうやって病院に連れて行ったらいいですか」

 

 昔は次のように答えた。「健康診断ということにして病院に連れて行ったらいいのではないか。人間ドックや脳ドックなどと言ってもいいのではないか」。どうして自分だけが行かなければならないのかと本人が疑問を持ったら、配偶者も一緒に受診することにしたらいい、などと答えていた。

 

 しかし最近は答えが変わった。例えば、病識がないというが、ちゃんと本人と話をして病識がないと判断したのか。もしかしたら本人は、病気だと感付いているが、認知症だと認めたくないのかもしれない。あるいは、自分で認知症だと確信しているものの、周囲からそのような扱いを受けたくないのかもしれない。それは本人と話してみなければ分からない。

 

 認知症を疑っても、その人が状況を理解できない人間とは考えていない、などと人は言うかもしれない。そんな扱いをするつもりはないと。しかしそうならば、認知症でない家族や友人に対して決してしないような、いいかげんな理由を付けて病院に連れて行くことはしないのではないか。

 

 つまり助言した私の中にも家族にも、普通の人と同じように考えることができないという先入観が存在したのであろう。また家族は困っていると言うが、困っているのは家族だけでなく、行きたくないところに無理やり連れて行かれそうになっている本人であることに気付かなければならなかった。

 

 こんな質問もあった。「最近は認知症が進行し、わけもなく怒り出すことが増えて家族も困っている。どのように対応したらいいでしょうか」という質問である。

 

 私が若い頃に診察室でこのような質問を受けた時は次のように対応した。「精神的に不安定になっているので、精神安定剤を服用したらいいでしょう。この場合の安定剤というのは精神分裂病(現在は統合失調症)に使われる治療薬(この治療薬が死亡率を高めると報告されたのは最近になってから)です。少量から始めて徐々に量を増やします」などと説明した。また、「効果が十分でなく、ご家族の介護負担が大きい場合は、施設の短期入所や精神科の入院も選択肢とすることができます」といった説明もした。

 

 最近は介護保険制度が普及し、種々の介護サービスが利用できるようになったこともあって、認知症の精神症状にはまず非薬物療法が行われる。そして介護サービスだけでなく、ヘルパーやケアマネージャーとともに家族もガス抜きのために本人の話を聞いてあげるのがよいとされる。

 

 しかし私の最近の考えはさらに変わった。ガス抜きを目的に話を聞くことが望ましいとは思えなくなったのである。聴くのは、本人の怒った経緯を知るためであり、本人の怒る気持ちをよりよく理解するためではないか。本人が怒ったり興奮したりせず、納得して受け入れられるような対応を以前は周囲が考えたが、それはそもそも、本人の望む対応とは言えないのではないか。もっとも適切な対応は、本人が何を望んでいるかを踏まえて検討していくことではないであろうか。(続く)

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