既存薬を使った抗がん剤の開発　＃１がん幹細胞

 

私達は既存の薬剤を用いた抗がん剤の開発を行っております。

この治療法は、酸化ストレスを利用し、がん幹細胞を倒すことで、がんの治療を行うことを目的として開発しています。

 

今回は、私たちの研究における「がん幹細胞」について少し説明します。

 

 

癌幹細胞とは

 

がん細胞には、未分化な「がん幹細胞」と分化した「がん細胞」が存在します。がん幹細胞には「自己複製能」と「多分化能」の性質が備わっています。

 

つまり、がん幹細胞は分裂して自己複製をしながら増殖し続けながら、一部はがん細胞に分化し、腫瘍を形成します。そのため、イメージとしては、がん幹細胞はがん細胞の親玉であり、よく女王蜂と例えられます（がん幹細胞→女王蜂、がん細胞→働き蜂）。

 

また、がん幹細胞は血液やリンパの流れに入り込み、別の組織で分裂・増殖して腫瘍をつくる(転移)とされています。

 

 

がん幹細胞と治療

 

がん幹細胞は、非がん幹細胞に比べて増殖の速度が遅く、治療抵抗性が非常に高いという特徴もあります。

 

つまり、従来の抗がん剤や放射線治療などでは、がん幹細胞に対しての効果が弱く、親玉であるがん幹細胞が生き残ってしまいます。そして生き残ったがん幹細胞は、また新しいがん細胞を生み出して再発や転移を起こすのです。

　

 

そのため、がんを治せる病気にするためには、このがん幹細胞を打ち倒す治療が求められており、私達の開発もこれを目指しています。