ガザの水問題

こんにちは。タグリードです。「ガザで羊を育てることの大変さ」の記事のなかで、羊のために「水を買わなければならない」状況について書きましたが、そこには、深刻な水問題があります。

 

ガザの水道水は、お皿を洗ったり、シャワーを浴びたり、洗濯をしたり、植物への水やり、掃除などに使われています。これは塩分濃度が高く汚染されており、飲んだり料理に使ったりするのには向いていません。農業で使うにも塩分濃度が高すぎ、農家は冬季に溜めた雨水と混ぜて使うなどしており、あまりに塩分濃度が高い地域では、耐塩性のある農作物しか育てられません。

 

特に夏は、継続的な停電のために、水道水が利用できません。時には5日以上水が出ないこともあります。そうなると、業者から飲料水を買わざるを得ません。

 

飲料水の価格は地域や業者によって異なります。例えば、私の住んでいる地域は舗装されておらず、大通りから離れているので、輸送代が上乗せされ、250L3のタンクで10NIS（約320円）ですが、もっと安い地域もあります。

 

水不足を避けるために、庭や農場に井戸を掘る人もいます。しかし、ガザ地区の水源はほぼ唯一で、地下帯水層しかありません。そのため、井戸を掘る人が増え、結果、認可のない井戸が数多くあります。このような違法な井戸による無計画なくみ上げの増加により、地下帯水層に海水が流れ込むようになり、その塩分濃度も高くなってきています。

 

ちなみに、水問題は西岸地区でもあります。西岸地区の水源の9割はイスラエルにコントロールされ、1967年以降、新規井戸の掘削も許されていません。水は週に2回しか出ないという地域もあり、パレスチナの家は必ず屋根の上にタンクを置いて、水が利用できるときにそこに溜めておきます。夏季は必ず断水する地域もあります。水や電気は基本的にはイスラエルのパイプライン（ただし水源はほぼ西岸領域内）から供給されるため、その支払いが負債として膨れ上がり、支払いの滞納を理由に止められているようです。