能登半島地震から1年半。輪島塗ぬり工房　楽の今をご報告申し上げます。

ご支援を頂きました皆様へ

雨の季節を迎え、大雨の予報に注意しながらも家族無事に過ごしていますのでご安心ください。
本年より再開しました工房の作業も、少しずつはかどる様になりお申込み受付時の納期も徐々に短くなりつつあります。震災前の納期に戻すことが目標でしたので順調に進んでいるといえます。1年間作業ができなかった分の遅れを取り戻そうと日々作業を続けた成果が見えてきたので心も軽く感じています。仕上がりをお待ち頂いているお客様、ご理解賜りありがとうございます。
輪島市街地で仮設工房を構えた蒔絵師さんはじめ楽工房を支えてくださる職人さんたちも不自由ながらも元気に仕事に励んでいます。職人さんたちが元気で仕事してくれるおかげで様々なご注文にもお応えすることができています。

6月に発送予定のリターン品は概ね仕上がりましたので6月中に発送したいと思っています。休業中も少しずつ手掛けてきた品ですので、仕上がってずらりと並んだお椀をみるのは感慨深いです。このお椀たちにどれほど支えられたかしれません。ありがとうございます！KOKEMUSUシリーズも同時に仕上がってきています。準備が整い次第発送していきますので楽しみにお待ちください。

工房兼住居の修復工事につきましては、5月末にアンダーピーニング工事が完了し、いよいよ本格的に建物の修繕を進める準備が整いました。輪島市の支援も厚く9月の豪雨で崩壊した法面工事もあわせて行うこととなりましたので本年中には職人が安全に作業できる環境を確保できそうです。
もちろんご来房ご希望のお客様にも安全に輪島塗職人の仕事ぶりを見て頂けるよう、また輪島塗をもっと知っていただけるよう工夫して整えていこうと考えています。ここまで1年半かかりましたが被災者の多くはまだ将来を決めかねているのが現状です。

4月からは新しい挑戦も始めました。
ひとつは輪島塗保存会の伝承者養成事業への参加です。週2回下地の先生のもとへ通い、より高度な輪島塗技法を学んでいます。輪島塗技術保存会が制作した 輪島塗大型地球儀「夜の地球Earth at Night」は大阪関西万博に展示中です。もう一つは工房前の田んぼ再生です。5月11日にはボランティアさんにもお手伝いを頂き田植えを行いました。大きく育って中干し中の青々とした田んぼを眺めていると気持ちがいいです。ご来房頂いたお客様にも世界農業遺産「能登の里山」を堪能してもらえるように継続していきたいと思っています。元の風景がどれほど素晴らしかったのか無くしてみて感じています。

建物の修復工事が完了する頃、またご報告できたらと思います。
引き続きお見守り下さい。

2025年6月　
輪島塗ぬり工房　楽