廃病院をミュージアムへ|生誕地、名張で江戸川乱歩の世界を再現したい

廃病院をミュージアムへ|生誕地、名張で江戸川乱歩の世界を再現したい

支援総額

12,935,000

目標金額 5,000,000円

支援者
434人
募集終了日
2025年7月31日

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プロジェクト本文

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この部屋の掟は、ただ一つ。退屈しのぎのためなら、どんなことでも許される――

…『赤い部屋』

 

290名の皆様の心強いご支援によりまして、なんとなんと第二目標としていた800万円を達成することができました。心より御礼申し上げます。乱歩先生も大層お喜びのことでしょう!

 

今回のプロジェクトは、乱歩作品が織りなす唯一無二の世界観を、世代を超えて体験できる場所をつくるための挑戦です。作品の魅力が褪せることなく、訪れるすべての人々が怪しくも美しい深淵な世界にどっぷり浸れる場所がつくれたならば、どれだけ素敵なことでしょう。応援メッセージとして拝受しているエールからも、皆様の高揚したお気持ちを拝察し、私自身も楽しみで仕方がありません。

 

とはいえ、築65年の建物の傷みはひどく、この世界観を守り続けていくためには道半ばであります。例えば、院内の電気設備関係はツギハギ状態で、電気工事や空調設備の総入れ替えが必要な状態なのです。

 

アートのような配電は、乱歩の世界観そのものであり、非常に魅力的である一方、そのままの使用は発火の恐れもあり危険です。皆様にとって安全で、なおかつ魅力的な場所にできるよう、残すべきものは残しつつも、きちんとインフラ整備は進めていきたいと考えています。
 

 

そこで、最後の1週間を通じて、第三目標1200万円に挑戦を続けさせていただくことといたしました。いただいたご支援では、前述の通り、建物2棟の電気工事と空調設備の総入れ替えに向けた費用に充てさせていただきます。

 

最終日となる7月31日まで、どうか最後まであたたかい応援とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 

乱歩と名張  辻 孝信

 

生誕地消滅の危機から江戸川乱歩の世界観実現の場へ

 

「日本の探偵小説の祖」と言われる江戸川乱歩。彼の物語が始まったのが、三重県名張であるとご存知でしょうか。乱歩が生まれた借家は残っていませんが、その跡に建てられた院長宅は昭和27年に乱歩が初めて里帰りを果たした時のまま残っています *。

 

しかし、そんな江戸川乱歩の生誕地が消滅の危機に瀕しています。所有者であった病院長がご高齢のため引退され、空き家となった現在、更地にして売却されてしまうというのです。生誕地の消滅は、江戸川乱歩が名張にいた歴史や人々の記憶希薄化、ひいては名張との関係の消滅に繋がります。

 

乱歩と名張市をつなぐ最も重要な場所として、全国のミステリーファンにとっても重要な場所として、乱歩生誕の地を守りたい。その一心で、一念発起して2025年2月に土地・建物を購入し、なんとか解体を止めることができました。

 

乱歩生誕地に建つ桝田医院は、外観からも趣溢れる廃病院、まるで人間だけが消えてしまったような病室の光景…見た瞬間、息を飲みました。おぞましくも美しい江戸川乱歩の世界観そのものだったのです。「乱歩の世界観を体験できる新しいミュージアムにしたい」と決めたのはこの時でした。

 

この趣ある病院跡地を、江戸川乱歩の世界観を体感できる場所へ。多くの方々のお力をお借りしながら、皆さんと共に作り上げていきたいと思っています。

実現に向けたご支援を、どうかよろしくお願いいたします。

 

 

リニューアル後のイメージ(『赤い部屋』)

 

* 江戸川乱歩が生まれたのは横山医師宅の借家でした。その後、所有者が変わり「桝田医院」となりましたが、その外観は昭和27年に江戸川乱歩が初めて里帰りを果たした時のまま残っています。

 

 

▼各界から応援のメッセージを頂戴しております▼

\詳細はこちら

 

 

乱歩の生誕地が消える危機に

 

名作の数々を生み出してきた乱歩ですが、実は乱歩先生本人のことや、作品の世界観を味わえる場所というのは意外にもないのが現状です。もちろん映画化やアニメ化なども作品の魅力を味わうのに重要な手段ですが、イギリスにシャーロック・ホームズ博物館があるように、江戸川乱歩の世界観に浸れる、より深く知るための場所があれば、と思っていました。

 

そんな最中に知ったのが、乱歩生誕地が空き家となり、売却可能性ありとのニュースです。これはピンチであると同時にチャンスだと感じました。乱歩の生家は、乱歩と名張市をつなぐ意味でも、全国のミステリーファンにとっても大変重要な場所です。ここを新しいミュージアムとして生まれ変わらせることができれば、全国のミステリーファンにとっても、名張市にとっても、大きな一歩となると信じ、一念発起して個人購入し、このプロジェクトを立ち上げました。

 

 

解体を止めることができたという意味で、ようやくスタートラインに立つことができました。ただ、本当の挑戦はここからです。この場所を維持するだけではなく、発展させていかなければなりません。多くの方々のお力をお借りして、皆さんと共に作り上げていきたいと思っています。

 

 

日本の探偵小説の祖、江戸川乱歩

 

子ども時代に学校の図書室にあった『怪人二十面相』シリーズを読んだという人は多いのではないでしょうか(私もその一人です)。

 

少し気味の悪い、しかし美しい、独特な世界観が特徴的な江戸川乱歩作品は、日本の探偵小説を牽引してきた存在でもあります。没後60年となる現代でも、江戸川乱歩の作品は多くの人に愛読され、映像化や舞台化もされ続けています。

 

 

乱歩の魅力
「夜の夢こそまこと」


乱歩作品の魅力は何より、人間の心の闇の部分が描かれていることでしょう。「夜の夢こそまこと」と語った乱歩は、およそ人に言えない性癖や願望、趣味嗜好を持った人間の心を描いたのです。そしてそれは特別なものではなく、誰もが普通に心に抱えているものなのです。そうした人には言えない、秘めておきたい人間の欲望・心の闇の存在が、乱歩作品に普遍的な魅力を与えているのだと思います。

 

江戸川乱歩の代表作

 

・二銭銅貨 心理試験 屋根裏の散歩者 人間椅子
・D坂の殺人事件 陰獣 パノラマ島奇譚 孤島の鬼 押絵と旅する男
・黒蜥蜴 怪人二十面相シリーズ
・芋虫 盲獣 蜘蛛男 (エログロナンセンス)

 


 

創作以外の一面も


戦後、乱歩は「怪人二十面相」シリーズに活路を見出しましたが、創作とは別に「幻影城」や「探偵小説40年」などの自伝的評伝や探偵小説の類型的分類などの研究、そして新人作家の発掘などに精力的に取り組みました。これらの活動により、いわば乱歩の遺伝子、ミステリの遺伝子が次の世代、その次の世代に伝わり現在に至っています。

 

 

江戸川乱歩の世界観を体験できる今までにないミュージアムへ

 

現在の桝田医院跡地の様子

 

乱歩生誕地に建つ桝田医院の現在の様子は、1階には事務所、投薬窓口や診察室などがありますが、椅子や机はそのままです。

 

2階の一室には更衣室があり、着替え途中かのように名札のついたナース服がぶら下がっております。まるで人間だけが消えてしまったような不気味な光景です。

 

 

これだけでも十分ドキドキするのですが、廃病院の中を何回か探検していると今まで気が付かなかった部屋があるのに気づきました。手術室です(下記写真1枚目)。天井から無影灯が下がっていて、その下には手術台と思われるストレッチャー、壁際のガラス棚には手術道具が並べられています。

 

これを見た瞬間、息を飲みました。あの気持ち悪さを伴った江戸川乱歩の世界観そのものだったのです。「あぁ、乱歩の頭の中に描かれていた光景はこれだったのか…」と妙にリアルな実感を抱き、この感覚を多くの乱歩ファンの方や乱歩を読んでない方にも共有したいと思いました。「乱歩の世界観を体験できる新しいミュージアムにしたい」と決めたのはこの時でした。

 

アートのような配電

手術道具

 

これからここを、できるだけ廃病院の趣を残しながら部屋ごとに乱歩作品の世界を体験できるミュージアムにしたいと考えています。

 

手術室

診察室

受付

リニューアル後のイメージ(「赤い部屋」)

 

院長宅は、乱歩が初めて里帰りを果たした昭和27年時のままの建物です。今後は、読書会やその他のイベントもできる「乱歩サロン(仮)」に改修していきたいと考えています。

 

 

クラウドファンディングへの挑戦理由

 

生まれ故郷に晩年になってようやく足を踏み入れ、乱歩さんに「ふるさと発見」と言わしめた名張市は、江戸川乱歩の「聖地」と呼ぶにふさわしいと思っています。ただ、地元の方々を含めて、「名張市と乱歩の関係」についてはあまり知られていないと感じています。

 

そこで、今回クラウドファンディングという形で挑戦することで、名張市内外の方々へ、乱歩と名張の関係を知っていただくきっかけにしたいと考えています。また、このプロジェクトを通じて、名張市そのものの魅力について知っていただければ嬉しく思います。

 

 

 

目標金額 :500万円

資金使途:ミュージアムとして公開するための改装費用

 

・雨漏りしている箇所の修繕

・病院玄関からサロンへの導線づくりのための解体工事


※本プロジェクトは「All or Nothing」という、目標金額を達成しないと全額ご返金になる(1円も受け取れない)ルールです。

 

 

 

名張をミステリの聖地へ

 

名張市は大阪都市圏の拡大に伴い、ベッドタウンとして多くの住宅地が開発されました。その結果、町の賑わいは国道沿いへと変化し、桝田医院の周辺エリアは開発されぬまま、ひっそりと、昔のまま時が止まったかのようです。

 

江戸川乱歩生誕地から歩いて10分以内の場所には、12件の登録有形文化財がありますが、見る人も少なく、静かに佇んでいます。時代に取り残されたこの地は、目まぐるしく変化する今の時代だからこそ、価値ある場所なのではないかと感じます。

 

今回新たなミュージアムの設立を通じて、そうした文化財など地域全体を巻き込みながら、地域の皆様とともに名張を盛り上げ、「時の止まったまち」として「タイムスリップさんぽ」のような時間を楽しめるエリアに変えていきたいとも思っています。

 

実現に向けて、あたたかいご支援を、どうかよろしくお願いいたします。

 

 

 

ご挨拶

 

江戸川乱歩と辻家との関わり

 

初めまして、「乱歩と名張」主宰の辻孝信と申します。

 

私はただの乱歩ファンということもありますが、乱歩先生の生誕の瞬間に、私の曾祖母が立ち会ったという関係があり、日頃から”乱歩先生”と呼んでしまうほどには”ご縁”と”親しみ”を感じています。

 

辻家では並々ならぬ思い入れが受け継がれており、実家の本棚には乱歩作品が多数並び、子どもの頃からむさぼり読む少年時代を過ごしていました。

 

 

|辻家と江戸川乱歩の関わり

 

乱歩の父、平井繁男は名張町に赴任し、横山医師宅の借家に居を構えました。この借家で江戸川乱歩(本名:平井太郎)が生まれる事になります。ただ、出産の際に予定していた産婆さんが間に合わず、急遽横山医師の妻よしえと、その娘(私の曾祖母にあたる)「せき」が太郎を取り上げる事になりました。

 

生後まもなく転居したため、乱歩にとって名張は「見知らぬふるさと」でありつづけましたが、晩年になってようやく「ふるさと発見」が果たされ、昭和30(1955)年には名張市民の手で「江戸川乱歩生誕地」碑が建立されました。


辻せきが乱歩生誕の瞬間に立ち会い、祖父(辻安茂)は生誕地碑建設発起人の一人。また父(辻敬治)は家業の傍ら長年名張市教育委員長を務め名張図書館、江戸川乱歩コーナー設置の責任者の一人でした。

 

このように、辻家は乱歩と名張の関係を途切れさせる事なく繋げてきた家だと感じています。江戸川乱歩生誕地の保存は私に課せられた責務だと感じています。

 

「乱歩と名張」について

 

私が主宰する「乱歩と名張」は、江戸川乱歩がたびたび訪れた料理旅館「清風亭」で乱歩作品や乱歩にまつわる話題などについて語り合うという会です。名張市に住む江戸川乱歩に関心のあるメンバーを中心に活動しています。

 

清風亭外観

乱歩先生が好んだメニュー

鰻を食べる乱歩先生

 

応援メッセージ

 

 

平井憲太郎様(江戸川乱歩先生ご令孫)

(2013年4月7日近鉄名張駅東口 江戸川乱歩像除幕式にて)

 

祖父、江戸川乱歩が70年ほど前に再発見した自分の生家が、その時にお目にかかった方のご子孫によって買い戻され、保存に向けて動き出したとお聞きして、驚くとともに感動しています。

私も応援しています。

 

綾辻行人様(推理小説家)

(2006年10月28日、当時の江戸川乱歩生誕地碑にて)

 

名張の、江戸川乱歩生誕のあの地に「乱歩の世界観を体験できるミュージアム」を!

何という素敵なプロジェクトでしょう。

断固、応援いたします。 

 

有栖川有栖様(推理小説家)

(2013年4月20日 近鉄名張駅東口の江戸川乱歩像前にて)

 

探偵小説の父・江戸川乱歩の生誕地に乱歩作品の世界観を反映したミュージアムができたら、全国のミステリファンのふるさとになるでしょう。
このプロジェクトを心より応援いたします。
多くの方の力で、ぜひ名張の夢をまことに。

 

高橋恭美子様(英米文学翻訳家)

 

子どものころ、世界文学全集などの名作を読むかたわら、こっそり一緒に借りてきた『怪人二十面相』シリーズを毎晩読みふけっておりました。
おぞましくも美しいあの世界感に、明智探偵と少年探偵団の華麗な推理に、夜ごと胸をときめかせたものです。その私が翻訳者となって私立探偵コンビや素人探偵団が活躍するミステリを手がけることになろうとは……あのころ植え付けられた種が芽吹いたとしか思えません。

その乱歩先生の生家を保存してミュージアムにしようと一念発起したのが学生時代の友人である辻氏でした。なんという不思議なご縁。

乱歩の一ファンとして、旧友として、全国の熱心な乱歩ファンの聖地となるであろうミュージアムの実現を楽しみに、このプロジェクトを全力で応援しています!

 

旭堂南湖様(講談師)

 

 本日は、三重県名張市が生んだ小説家、江戸川乱歩のお話しいたします。
 江戸川乱歩、本名を平井太郎と申します。いたって、普通のお名前で。生まれましたのが、明治二十七年。西暦で申しますと一八九四年。ですから、今年は、生誕からちょうど百三十一年となります。あんまりちょうどやないですが……。
 十月二十一日に平井家の長男として、名張に生まれました。
 当時は、三重県名賀郡名張町という地名でした。
 意外なことに、名張にお住まいの方でも、乱歩が名張出身ということを知らない方が多いんです。
 名張というのは、実は有名な方が色々と生まれていまして、例えば、江戸川乱歩であるとか、あるいは、江戸川乱歩とか、その他には、江戸川乱歩とか。まあ、色々といるんですが……。
 一番有名なのが、名張太郎。「誰やねん」と思われるかもわかりませんが、太平記で活躍をした武将です。
 実は、この平井太郎の太郎は、名張太郎の太郎から取ったという説があります。この説は今、私が作ったのですが……。
 歌手の平井堅さんも名張出身ですね。実は平井太郎と平井堅。遠い親戚にあたると聞いたことがあります。平井堅のお母さんの妹さんの旦那さんの友達が、乱歩の小説のファンという。遠い親戚にあたるというのはウソのような気がします。
 乱歩は生まれてすぐに、亀山町に引っ越し。そして、名古屋、大阪、東京と宿替えをします。
 その生家が、今後、人々が集える場所として活用されるというのは、非常に意義深いことだと思います。
 私もこの生家で「講談・乱歩一代記」を語る日が来るのを、楽しみにしております。

 

小松史生子様(早稲田大学 文学学術院/文化構想学部 教授)

 

廃病院という空間から、乱歩ワールドを現世うつしよに再現!

江戸川乱歩の作品世界――すなわち乱歩ワールドは、明智小五郎や怪人二十面相、小林少年や少年探偵団の子供達の活躍の背景に、いつも黄昏の空気をまとったレトロ建築の影をただよわせている。麻布竜土町の明智事務所しかり、戸山ケ原の怪人二十面相のアジトしかり。さらには、閨秀作家・佳子が椅子に潜んだ男に怯える文化住宅、モルヒネ殺人事件が起こった屋根裏付き近代下宿の東栄館、同性愛に煩悶する天才外科医が動物実験を繰り返した池袋の実験室、などなど。
そうした乱歩ワールドの原点には、もしかしたら作家自身が自覚し得ない未生の域でゆかりのあった、三重県名張の横山医師宅借家の雰囲気があるのかもしれない。江戸川乱歩こと平井太郎は、明治27年、この借家で誕生したのである。その借家と周辺の土地はやがて所有者が変わって舛田医院として運営されていたが、近年空き家となった。私は2024年12月に名張市が開催した乱歩生誕130年記念講演会にお招きいただいた際、廃墟となってしまっていたこの桝田医院の内部を特別に案内していただいた。
建物外見はアールデコ様式を思わせるモダンな造りで、まさに乱歩の世界から抜け出してきたかのようである。折からの夕暮れの陽射しの中、モダン建築の影が濃く延びていたのを覚えている。
廃院の内部に入ると、あちこちに病院付属の器具や何やが転がり、薬品が並んでいたであろうガラス張りの棚や、手術室のストレッチャー、細長いロッカーの不気味な陳列といった光景が展開して、怪人二十面相の哄笑がどこからか聞こえてきても不思議ではない雰囲気に満ちていた。
とかく乱歩ワールドの建築というと東京ばかりがクローズアップされがちな中にあって、三重の名張という土地に、こうした乱歩の世界観そのままの建築が乱歩自身の縁ゆえに保存されるという事態は、たいへん意義のあることだ。なぜなら、文学という活字の楼閣で紡がれた脳内幻想をフィジカルに体感できる貴重な場所として、その土地の歴史と共に文学の新しい楽しみ方を拓く可能性があるからだ。特に、これから乱歩ワールドに触れる若い世代にとっては、アトラクションとしての文学体験が得られる場所として、大いに関心が持てるだろう。我々文学研究者にとっても、そうした新しい試みの実践場ができることは願ったりかなったりである。
乱歩ワールドから抜け出てきたかのようなモダン建築・桝田医院を買い取り、乱歩作品の舞台を現世に再現するのが今回のクラウドファンディングの目的だ。およそ100年ぶりに現世に甦る乱歩の「夜の夢こそまこと」な世界をこの目で見るために、本クラウドファンディングを心から応援したい。
ところで、成功のあかつきには、再現される〈赤い部屋〉に是非とも私を招待してください。

 

中相作様(郷土史家・江戸川乱歩研究者)

 

おきばりやす名張

江戸川乱歩は 1894 年に名張のまちで生まれましたが、翌年には父親の転勤でよそへ引っ越してしまいました。なにしろ赤ん坊でしたから、名張のことは何ひとつ覚えていなかったそうです。
当方は 1953 年に名張で生まれ、いまも飽きずに住まいして、今年めでたく七十二歳の春を迎えました。名張に住みつづけて得た揺るぎない結論は、この名張というところは、知性にはまるで無縁な土地柄である、ということです。のみならず、いまや衰退一直線です。とにかくお金がありません。深刻な財政危機に陥った名張市が財政非常事態宣言を発出したのは 2002 年のこと。2022 年にようやく宣言が解除されましたが、財政状況は依然としてきわめて厳しく、昨年 12 月には名張市の広報紙が「2028 年には北海道夕張市につづいて全国でふたつめの財政再生団体に転落するかもしれません」と力強く市民に訴え、七万人あまりの市民は「ゆッ、夕張と名張はばりばりのびんぼコンビゆうわけですなあッ」とびっくり仰天、しかし半年が経過してようやく落ち着きを取り戻しました、と申しあげたいところなのですが、つい先日、学校給食をめぐってちょっとしたことがありました。やや詳しいことは下記リンク先でどうぞ。(http://nabariningaikyo.blog.fc2.com/blogentry-2612.html)

さて、このたびのクラウドファンディングはまさしく寝耳に水のおはなしで、当方としては首尾よく成就することを神様にお願いすることしかできないのですが、これをきっかけとして名張に興味をお向けくださったみなさんに、ごくささやかなお礼として、あるいはお近づきのしるしとして、というよりはこれをご縁に名張市を温かくお見守りいただき、何かの折にはお力添えをたまわりますことを厚かましくもお願い申しあげる意味をこめまして、当方から私家版のごくごくチープな著書をお贈りしたいと思います。
チープな著書と申しますのは、昨年、乱歩の生誕百三十年と私の乱歩じまいを記念することを目的に、2020 年から 23 年まで発行した個人誌の合冊に 2022 年初演の戯曲をおまけしてこっそり世に送り、これまでお世話になったみなさんにお届けした『伊賀一筆 FM と乱歩誕生』(A5 判、182 頁、本体1800 円)のことです。まだ売るほど残っているのですが、家畜のえさにすらなりませんので、放出してプレゼントすることを決断いたしました。ご希望のかたは私宛てのメール(koharustako@gmail.com)で、件名は僭越
ながら名張市へのエールをこめて「おきばりやす名張」としていただき、おところとおなまえを明記のうえお申し込みください。別掲の QR コードを利用すればメールソフトが開きます。お寄せいただいた個人情報は厳重に管理し、外部にはいっさい洩らさないことをお約束いたします。売るほどあると申しましても残部はそれほどたくさんはありませんので、ひとまず怪人二十面相にちなんで先着二十人のかたに一冊ずつプレゼント、ということでご了承いただきますよう願いあげます。
それでは、ご閲覧諸兄姉のあすからの人生に幸多かれと祈りつつ、本日はこれにておいとまを申しあげます。どうもありがとうございました。(名張ユネスコ協会認定なばりのたからもの第十号)

 

中田茂美様/俊昭様(古書からすうり)

 

日本探偵小説の父として不朽の足跡を残した江戸川乱歩。
生誕の地である名張に、その功績と世界観を体感できるミュージアムを誕生させる構想は、乱歩ファンのみならず、地元にとっても心躍るものです!
ミュージアムが名張の新たな文化交流の場として、そして観光振興にも大きく貢献することを期待しています。

 

 

同じ三重県に住んでいる人でも、多くは気づかないでいるかもしれません。

その中西部、奈良県に突き出すようにして130平方キロ足らずの小都会が存在し、かつては名賀郡名張町と呼ばれたその一角に、「江戸川乱歩生誕地」という石碑が立っているのです。

赤目四十八滝や香落渓などの景勝地に囲まれ、一時は大阪のベッドタウンとして栄えた名張市ですが、今では近鉄電車の乗客がときどき気まぐれに下車してみるぐらいで、ほとんどかえりみるものもないはずが、大乱歩の名を慕う人々が立ち寄るようになったのです。

いつのころからか、あたりは医家である桝田家の所有になっていて、長年一帯の患家を集めていたところ、数年以前それも廃院となり、すっかり取り払われて更地にされる寸前だったのですが、建碑から70年を経てにわかに不思議な動きが起きました。何十何百という人々から醵金を募り、旧桝田医院を乱歩記念ミュージアムとしてよみがえらせる事業が始まったのです……。

 

四苦八苦した割には、原形をとどめない戯文パロディで申し訳ないのですが、このプロジェクトへのせめてものはなむけとしてひねり出させていただきました。

探偵小説を愛しすぎた江戸川乱歩先生、その乱歩先生を愛しすぎた読者にして作者の一人として、クラウドファンディングの成功とミュージアムの完成を心からお祈りしております。

 

秋永正人様(日本推理作家協会会員)

 

「ひいばあちゃん(辻せきさん)の生まれた年を教えて」そう云って3年前、旧知の辻孝信さんのお店「Cup of Tea」を訪れたのがすべての始まりでした。

ひいばあちゃんの生まれ年を調べるつもりが、辻さんは自宅の蔵からせきさんの手記を見つけました。そこには昭和27年と30年に乱歩がせきさんを訪れたこと、生まれたばかりの太郎を思い出して「お母さんの乳房にすがる姿が目に浮かぶ」と記されていました。辻さんと二人、驚き興奮しました。さらに翌年、乱歩生誕のまさにその土地建物の売却話が出るに至って、辻さんは悩みに悩んでこの物件を買う決断をしたのです。そのきっかけを作った私も今さら逃げられなくなりました(笑)

そして今、生誕地に立つ建物を乱歩ミュージアムとして乱歩の世界観を再現したい。

おっさん二人の興奮がさらに大きなワクワクドキドキの輪に広がっていくことを願っています。クラウドファンディングのさらに先も見据えて、これからも協力していきたいと思います。

どうか皆様の熱いご支援をよろしくお願いします。

 


留意事項

 

※今回のプロジェクトの内容と画像の使用に関しましては、江戸川乱歩のご令孫である平井憲太郎氏、ならびにミュージアム建設地となる土地・建物の前の所有者(桝田氏ご遺族)からの承諾を得ております。

※本プロジェクトの資金は、乱歩生誕地の土地と建物を購入し、江戸川乱歩ミュージアム建設を企画している「乱歩と名張」代表の辻孝信が受け取ります。プロジェクトとリターンも辻孝信が実施します。

※第一目標達成後の返金やキャンセルは、ご対応致しかねますので、何卒ご了承ください。
※支援完了時に「応援コメント」としていただいたメッセージは、本プロジェクトのPRのために利用させていただく場合がございます。あらかじめご承知おきください。

※本プロジェクトのリターンのうち、有効期限を設けている体験型のリターンについて、有効期限内にやむを得ない事情によりご案内が困難になった場合には、有効期間について個別に調整させていただくこととし、ご返金は致しかねますのでご了承ください。

※本プロジェクトのリターンのうち、【お名前掲載】に関するリターンの条件詳細については、リンク先(https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「支援契約」の中にある「●命名権、メッセージの掲載その他これに類するリターン」をご確認ください。


 

 

プロジェクト実行責任者:
辻孝信「乱歩と名張」
プロジェクト実施完了日:
2025年10月31日

プロジェクト概要と集めた資金の使途

三重県名張市にある廃病院をミュージアムとして生まれ変わらせるため、江戸川乱歩愛好家で「乱歩と名張」を主宰する辻孝信が、雨漏りしている箇所の修繕と病院玄関からサロンへの導線づくりのための解体工事費用に充てさせていただきます。

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リターン

5,000+システム利用料


入場招待券コース

入場招待券コース

●お礼の絵葉書
●公式ホームページにお名前掲載(希望制)
●11月3日開館を予定している江戸川乱歩ミュージアムへの入場券 *1

*1)参加人数:1口2枚まで、実施日程:2025年11月3日〜2026年12月末まで有効(ミュージアムの開館状況に応じて変更となる可能性がございます。その場合は、別途ご連絡いたします。)

申込数
158
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2026年12月

10,000+システム利用料


【クラファン限定】江戸川乱歩オリジナルアクリルスタンド

【クラファン限定】江戸川乱歩オリジナルアクリルスタンド

●お礼の絵葉書
●公式ホームページにお名前掲載(希望制)
●11月3日開館を予定している江戸川乱歩ミュージアムへの入場券 *1
●【クラファン限定】江戸川乱歩アクリルスタンド

*1)参加人数:1口2枚まで、実施日程:2025年11月3日〜2026年12月末まで有効(ミュージアムの開館状況に応じて変更となる可能性がございます。その場合は、別途ご連絡いたします。)

申込数
114
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2026年12月

5,000+システム利用料


入場招待券コース

入場招待券コース

●お礼の絵葉書
●公式ホームページにお名前掲載(希望制)
●11月3日開館を予定している江戸川乱歩ミュージアムへの入場券 *1

*1)参加人数:1口2枚まで、実施日程:2025年11月3日〜2026年12月末まで有効(ミュージアムの開館状況に応じて変更となる可能性がございます。その場合は、別途ご連絡いたします。)

申込数
158
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2026年12月

10,000+システム利用料


【クラファン限定】江戸川乱歩オリジナルアクリルスタンド

【クラファン限定】江戸川乱歩オリジナルアクリルスタンド

●お礼の絵葉書
●公式ホームページにお名前掲載(希望制)
●11月3日開館を予定している江戸川乱歩ミュージアムへの入場券 *1
●【クラファン限定】江戸川乱歩アクリルスタンド

*1)参加人数:1口2枚まで、実施日程:2025年11月3日〜2026年12月末まで有効(ミュージアムの開館状況に応じて変更となる可能性がございます。その場合は、別途ご連絡いたします。)

申込数
114
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2026年12月
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