第4回「路上文学賞」を開催したい!
第4回「路上文学賞」を開催したい!

支援総額

539,000

目標金額 400,000円

支援者
102人
募集終了日
2015年10月1日

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2015年09月20日 14:24

前回の受賞者:河野開司さん~プロホームレスのプライド~

第3回路上文学賞で佳作を受賞した『東京路上生活マニュアル』の作者、河野開司さんにお話をうかがいました。同作品は、プロのホームレスとして生きるための知恵が詰まった「遊び心満載の自伝」とご本人がおっしゃるとおり、河野さんの実体験にもとづいて書かれています。果たして、「プロのホームレス」とは?

 

*************************************

 

――前回、応募しようと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

 

河野:有名になりたかったからです。自分の文章を多くの人に見てもらいたかったし、大賞の5万円がほしかったというのもあります。

 

 

――そしてみごと佳作を受賞されましたが、目的はある程度達成されましたか?

 

河野:いえ、佳作でしたし、ネット上には掲載してもらえましたが、自分のところにほとんど反響が届かないので、空振り三振に終わった気分でした(笑)。スカウトされたり、問い合わせが殺到したり、取材依頼が来たりするのかな、なんて思ってましたから。

 

――そうでしたか。路上文学賞をもっと有名にして、応募者の方々にまで反響が届くよう、私たちもがんばらなくてはいけませんね。

 

 

――次の応募作品もすでに書き始めているとのことですが、前回から気持ちに変化はありましたか?

 

河野:反響がなかったからこそ、もう無理をするまいと思いました。前回は過剰な期待をした分、喪失感がすごかったので。芥川賞を取った又吉さんのような才能が僕にもあれば、賞にこだわっていたかもしれないけど、自分の才能からしたら、楽しく書いて、楽しく読んでもらえれば、それでいいと思っています。

 

有名になりたいという思いは、もちろんありますよ。近頃、ツイッターの炎上事件なんかで、一般人がネット上で有名人になってしまうことがあるじゃないですか。あれって、炎上した人のなかには、有名になってニヤッとしてる人もいると思うんですよね。でもそういう「出る杭は打たれる」的なのを見てて、「目立ったからといって幸せだとはかぎらない」と、いまは思ってます。でもまあ、もし僕が何かやらかしたら、路文のHPにアクセスが殺到して、僕の作品がテレビに取り上げられちゃうかもしれないですよね、小学校の卒業文集みたいに(笑)

 

 

――有名にならなくても書き続けるということですが、河野さんにとって、「書く」こととは?

 

河野:ストレス解消と、自分の溜まりに溜まった気持ちを吐き出すことですね。

 

 

――どういうときに書きたくなりますか?

 

河野:時間が余ったときですね。特に仕事がなくなって、時間が余ったとき。

 

 

――アイデアはつねにあるんでしょうか?

 

河野:ええ。自分の体験したことを書くだけなんで、ひねり出す苦労とかはありません。『路上生活マニュアル』を第20弾まで書けるくらいです。

 

 

――次の応募作品も『路上生活マニュアル』の続編になるということですが、どんな想いで書いていますか?

 

河野:批判されるかもしれないけど、自分はあくまでもホームレスとしてのプライドを持って生きているんです。「プロのホームレス」としてのプライドです。解説しますと、要はプロというのは本当に家がない。だけどアマチュアは、本当は帰る場所があるのに、炊き出しの列とかに並んで食事だけいただくという、なんちゃってホームレスだと、僕は勝手に断定してます。プロにはプロ独特の雰囲気、オーラがあるというか、たとえば衣服の汚れ具合とか、髪の傷み具合とか、なかなかお風呂とか入れない人もいっぱいいるわけで。まあ、みなさん、新宿区役所とかでシャワー浴びて、小ぎれいにはしてますけど、それでも限界がある。あまりにもきれいすぎる人は、やっぱり帰る家があるのかな、と思っちゃいます。

 

 

――河野さん、すごく小ぎれいにされてますけど(笑)

 

河野:いや、今日だけですよ(笑)

 

 

――星野智幸さんの選評にありましたが、前回の受賞作には、「路上生活のネガティブなイメージを、ある意味でポジティブに変えてしまう」パワーがありましたよね。ホームレス生活は、河野さんにとってつらいものではないんでしょうか。

 

河野:まあ、つらいもんはつらい。特にまずいのは、仕事がなくなったとき。でもなぜつらいことを書かなかったかというと、つらいところを書いたら負けだという想いがありました。あくまでも自分は勝っているんだということを、無理にでも見せておこう、というのもあるかな。結局のところ、ホームレスはつらい、負けじゃないか、と思われたら負けだと思うので。

 

 

――ホームレスだからってバカにするなよ、という反骨精神みたいなものでしょうか?

 

河野:バカにされても当たり前だと思ってますよ、自分でも。ただ、バカにする側が果たして幸せかな、とは思います。本当に。僕はバカにされることに対してなんとも思ってないし、それを脱出したければ、とにかく働けばいい。でも働くといっても、普通に働くことが難しくなってきている。僕もホームレスになる前は、あらゆるブラック企業で働いていましたが、「毎日こんな劣悪な職場環境で働き続けるくらいなら、ホームレスになったほうがマシだ」と感じたことが幾度もありましたしね。いまはプライドを持ってホームレスをやっています。ただし、ホームレスになっても、法律は守らなきゃいけません。言葉遣いや態度もきちんとしなきゃいけない。それは重要だと思いますよ。言葉遣いが悪かったり、区役所の職員さんに対しても、すごく態度がデカい人がけっこういるんです。それはいけない。

 

――そういった河野さんの美学みたいなものを、受賞作からも感じました。

 

 

――作品を書くときに、難しかったことはありますか?

 

河野:いや、書きたいように書いたので。ただし、ちゃんとした文章になるように、言葉の意味などはきちんとネット辞書で引いて調べました。漫画喫茶に泊まり込んでは、日本語がおかしかったりしないようチェックはしました。

 

 

――書く作業は楽しかったですか?

 

河野:ええ。プロの作家になった気分になれるので(笑)。世界が震撼するんじゃないかとか、勝手に期待してしまうんです、たいしたことないくせに。

 

 

――応募を考えている方々にメッセージはありますか? ライバルになるわけですが。

 

河野:迷わず書け、と。悩む権利など、あなたにはない。

 

 

――その熱い言葉、しっかりと書き留めました。河野さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。次の作品も楽しみにしています。

 

 

【実行委員会より:インタビューを終えて】
鋭い観察眼と、独特のユーモアを持った河野さん。時事ネタや2chネタにも通じていて、笑いをまじえながらいろんなお話を聞かせてくださいました。実は河野さんは、応募用の作品以外にも、プロホームレスの視点でたくさんエッセイを書いていて、いくつか見せてもらったのですが、とてもおもしろいのです! ブログやツイッターで公開しないのですか? と尋ねたところ、余計なトラブルを招くのが嫌なので当面は考えていないとのことでした。ただ、もう一度賞をもらうことができたら考えてみるかもしれない、とも。

 

取材はファミレスで行ったのですが、河野さんがシーフードサラダとデザートを注文していたのが印象的でした。ふだんの主食となる炊き出しは炭水化物に偏りがちなので、余裕があるときは野菜サラダや栄養ドリンクやサプリを買うようにしているそうです。健康管理もプロとして大切なことだとおっしゃっていました。取材後に連日の猛暑で心配になり近況を尋ねたところ、真冬のほうがよほどつらいし、プロはどんな環境でもよく眠れるから大丈夫、との返答をいただき、逆にこちらの体調を気遣い、真夏を乗り切るアドバイスまでくださった優しい河野さん。つらいことは書きたくないと言いますが、つらくないわけがないことをポジティブに書く強さはどこから生まれているのでしょうか。

 

※河野さんの受賞作はこちらで読むことができます。

 

リターン

3,000


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・路上文学賞・受賞作品集1冊
・路上文学賞・受賞作品集に支援者としてお名前を掲載
・サンクスレター

申込数
62
在庫数
制限なし

5,000


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・路上文学賞・受賞作品集3冊
・路上文学賞・受賞作品集に支援者としてお名前を掲載
・サンクスレター

申込数
23
在庫数
27

3,000


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・路上文学賞・受賞作品集1冊
・路上文学賞・受賞作品集に支援者としてお名前を掲載
・サンクスレター

申込数
62
在庫数
制限なし

5,000


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・路上文学賞・受賞作品集3冊
・路上文学賞・受賞作品集に支援者としてお名前を掲載
・サンクスレター

申込数
23
在庫数
27
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