本尊の図面と、制作動画D.B.Factory Film vol.1

大日如来像、本尊の図面のご紹介です。

新着情報でご紹介している画像は基本的に現在、コロナ禍によって住職が上京できる状況ではないため、大森暁生先生よりご提供いただいております。

 

本来、彫刻家としては制作過程の画像や、設計図面を一般に公開することは、

あまりしたくないはずですが、今回は、ご寄付を頂いている世の中の皆様に対して制作過程のご報告のために特別にご提供いただいております。

 

空海の大日如来像のもっとも信頼できるビジュアルの資料は、運慶が造ったミニチュアと言われる光得寺像をはじめとする、３体の大日如来像と言っても過言ではないと思います。というより、それ以外に存在しないというのが実情です。このうち、さらに参考になるのが運慶が東寺の当初像の修理に参加した後に制作したと考えられる２体です。

今回、大森暁生先生も当然運慶の大日如来像を参考にして図面を作成し、

制作に当たっているようですが、単なる運慶作品の模倣ではなく、

そこに自らの美意識や令和という時代性を取り入れて、

「今の自分にしか出来ないもの」を造ろうとしています。

それがこの図面からも見て取れます。

 

あまり差が分からないかもしれませんが、すでに図面の時点で

誤解を恐れずに申し上げると、やはり職業仏師では作りえない、

既存の仏像とは一線を画した独特の感性が図面から吹き出るように伝わってきます。

 

それは一つには、「仏像というもの」を彫ろうとしているか、

「我々の思いを受け止めてくれる生きた仏さま」を彫ろうとしているのか、

の差だと思います。

そしてもう一つには、「過去の優れた仏像に近づけよう」として彫っているか、「過去の優れた仏像から学び、そこに自分だけの表現を取り入れて過去にないものを」創ろうとしているか、

その差だと考えます。

 

じつは、この本体を彫るに当たって、大きさ以外は具体的な指示は一切出しておりません。

すべて彫刻家大森暁生に一任しております。

さて、どんなものが出来上がるのか、私もみなさんと同じく、わくわくしながら待っています。制作動画①を合わせてごらんください。